「数種のタイプの多嚢性腎疾患と多嚢性肝疾患の進行には、単一遺伝子が中心的役割を果たしている。」と、エール大学医学部(Yale School of Medicine)の研究者が“Nature Genetics”電子版(2011年6月19日)で発表する。この知見は、最も一般的なタイプの多発性嚢胞腎の原因遺伝子であるPKD1の活性の操作が肝臓と腎臓における嚢胞の発生の低減に効果的である可能性があることを示唆する。

 

「我々は、これらの病気が全か無かの現象に由来する結果ではないことがわかった」と、C.N.H Long Professor of Medicine・Genetics教授・腎臓学科チーフで本研究の上席著者であるDr. Stefan Somlo氏が語った。「PKD1の発現が減少するほど、嚢胞はより多く発生する。逆に言えば、PKD1の発現量の増加によって進行を遅らせることができる。」この病気で最も頻度の高いものは常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)と呼ばれている。これは、米国のみにおいても600,000人に発見される疾病で、罹患している片方の親から子供に遺伝する。


PKD1とPKD2の2遺伝子は、この状態の発症に関与している。また、PKD患者では肝臓にも嚢胞が出現する。Dr. Stefan Somlo氏と同僚は以前、肝臓のみで同じ嚢胞を発症していることを複数の家族で確認した。また、彼らは、この合い関する状況に2つの異なる遺伝子が関与していることを発見した。研究者達は、肝臓のみで発症する多嚢性疾患がどのようにADPKDと関連しているのかを知り解明したいと思った。

遺伝子工学的手法によるモデルマウスと生化学的手法の両方を用いた一連の実験で、4遺伝子のうちのわずか1つ(PKD1)の活性が、他の形態の疾病における嚢胞形成を制御することがわかった。マウスの実験は、PKD1の投与量の調節によって病気進行を遅らせることが可能であることを示した。
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「このデータから、PKD1活性を標的とすることは、単一の多発性肝疾患、小児期劣性多発性嚢胞腎、成人ADPKDのサブセットの処置に対して有効かもしれないという、展望のある可能性が示唆される。」と、Dr. Stefan Somlo氏が語った。


エール大学は、PKD研究のリーダー的存在である。たとえば、エール大学で実施される基礎科学研究は、嚢胞形成の経路として重要な繊毛識別の支援において重要な役割を果たしてきた。ちなみに、繊毛は細胞表面から延びる細い糸のような構造である。
エール大学は1999年以来、PKD研究においてアメリカ国立衛生研究所(NIH)助成によるPKD研究の全米4優秀国立研究機関(National Centers of Excellence)のうちの1拠点である。そのうえLewis B. Cullman分子生物発生生物学教授・化学教授・薬理学教授であるDr. Craig Crews氏の研究室では、PKDのモデルマウス数匹において多数の嚢胞を減らすのに有望な化合物を同定した。

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