創薬探索のための中分子有機化合物のライブラリーに関して


サイエンス出版部 発行書籍

 前回までに、これからは中分子創薬の有用であることを話しました。中分子創薬をするにあたって一番困難な問題である、中分子創薬に応用可能な中分子のライブラリーが少ないことについては、以前「中分子創薬開発において有望な化合物ライブラリーはあるの?」のところで、中分子創薬に有効な化合物はサイクリックペプタイド、ペプチドミメティックなどの天然物化合物が有効であることや、現状では分子量が1000以上3000位の中分子創薬に特化した化合物ライブラリーが、ペプチドドリーム社のもの以外に、殆ど存在しないことを話しました。そこで、今回は創薬のリード中分子化合物探索のために、「中分子有機化合物のライブラリーをどうするか」と、「低分子有機化合物ライブラリーの利用法」に関して話します。  幾つかの製薬会社は、独自でライブラリーを作成していると聞いています。自社でアミノ酸を合成しサイクリックペプタイドのライブラリーを作例するのも一つの考え方ですが、その場合ペプチドドリーム社のアミノ酸と同じにならないように、別のコンセプトでアミノ酸を合成する必要があると考えています。  次に天然物化合物を用いたスクリーニングですが、現在市販されている天然物化合物の中で分子量が1000以上の中分子化合物は非常に少ないと思います。そこで、天然物化合物のスクリーニングをするのであれば天然物の資源をもっているグループとの共同研究が必要になってきます。資源を持っているのは大学などのアカデミアの研究機関が多く、これらの研究機関もこれからの天然物化合物の活用を模索しているところが多いので、共同研究はやり易いと考えられます。ただ、今までの天然物化合物のスクリーニングは目的の化合物探索にマンパワーと時間がかかって来ました。そこで、これからこのスクリーニングをするには、「探索的プロテインープロテイン相互作用の解明」のところで話した、S

著者: 中山 登
中山 登
このセクションは、(株)Spectro Decypher 取締役&CTO(元・中外製薬株式会社研究本部化学部分析グループ長)中山 登 氏による創薬研究コラムです。
長年、創薬研究に携わってこられた中山氏が、創薬研究の潮流についての雑感や、創薬研究者が直面している課題の解決法などを体験談を踏まえて語っていただきます。
全文を読むにはログインしてください。(登録無料)
中山氏へのご意見やご質問は各記事ページ下のコメント欄から投稿できます。
【中山 登 氏 ご略歴】
昭和48年3月 立命館大学理工学部卒業
昭和48年5月~
昭和56年4月 電気通信大学材料科学科、コロンビア大学化学部研究員
昭和56年6月 日本ロシュ株式会社研究所 入社
平成8年4月 日本ロシュ株式会社研究所天然物化学部、機器分析グループ長
平成16年10月 中外製薬株式会社研究本部化学部分析グループ長
平成21年4月 中外製薬株式会社 定年 シニア職
平成26年4月 中外製薬株式会社 退職
平成26年5月~現在 株式会社バイオシス・テクノロジーズ 取締役&チィーフ・テクニカル・オフサー(CTO)
平成27年4月~平成31年3月 聖マリアンナ医科大学分子病態情報研究講座講師
平成31年1月~現在 株式会社Spectro Decypher 取締役&チィーフ・テクニカル・オフサー(CTO)