私たち(Spectro Decypher)が考えている臨床バイオマーカー探索の手法

私たち(Spectro Decypher)が考えている臨床バイオマーカー探索の手法

サイエンス出版部 発行書籍

前回、私たちのグループ(Spectro Decyphe & CaBNET)の臨床バイオマーカー探索の手法をもう少し詳しくお話ししたいと書きましたが、このグループは臨床医も参加しており、一昨年からのコロナ禍のためグループの具体化が進展していない状態です。早くコロナウイルス感染が収まることを期待しているところです。 そのため今回はグループの具体的な臨床バイオマーカー探索の手法では無く、私たち(Spectro Decypher)が考えている臨床バイオマーカー探索の手法をお話します。 私たちは臨床試料を用いた癌治療の個別化医療を目的とした診断マーカー探索の組織です。皆さんもご存知のように抗がん剤は、例えばオブジーボでも、癌患者さん全体の20~30%しか効果がありません。その中で完治する患者さんはごく一部です。更に抗がん剤は多種類市場されていますが、どの治療薬も万能ではありません。それは、癌細胞が単一でなくヘテロであり、更に癌患者さん個々人によって癌細胞のヘテロな度合いが変わることによります。そのため、臨床のお医者さんは癌細胞の病理学的解析(癌細胞の形状や状態)では、どの治療薬を選べば良いかを正確に判断できない状態です。最近はハーセプチンのように診断マーカーを提供している治療薬が殆どですが、それでも診断マーカーで選ばれた癌患者さんの一部にしか効果が認められません。私は癌のようなヘテロな組織の場合、単一の診断マーカーで癌患者さんの全てに最適の治療薬を提供するのは難しいと考えています。そこで、私たちは癌患者さんの今までの臨床Data(血液や癌細胞の病理学的解析など)に、ゲノム・プロテインとメタボローム解析した最新Dataを用いて、全てMachine leaningの手法で解析し、患者さんを層別し、個々人に合った臨床バイオマーカー探索する事で患者さんに適した治療薬の選択の方法を考えてい

著者: 中山 登
中山 登
このセクションは、(株)Spectro Decypher 取締役&CTO(元・中外製薬株式会社研究本部化学部分析グループ長)中山 登 氏による創薬研究コラムです。
長年、創薬研究に携わってこられた中山氏が、創薬研究の潮流についての雑感や、創薬研究者が直面している課題の解決法などを体験談を踏まえて語っていただきます。
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【中山 登 氏 ご略歴】
昭和48年3月 立命館大学理工学部卒業
昭和48年5月~
昭和56年4月 電気通信大学材料科学科、コロンビア大学化学部研究員
昭和56年6月 日本ロシュ株式会社研究所 入社
平成8年4月 日本ロシュ株式会社研究所天然物化学部、機器分析グループ長
平成16年10月 中外製薬株式会社研究本部化学部分析グループ長
平成21年4月 中外製薬株式会社 定年 シニア職
平成26年4月 中外製薬株式会社 退職
平成26年5月~現在 株式会社バイオシス・テクノロジーズ 取締役&チィーフ・テクニカル・オフサー(CTO)
平成27年4月~平成31年3月 聖マリアンナ医科大学分子病態情報研究講座講師
平成31年1月~現在 株式会社Spectro Decypher 取締役&チィーフ・テクニカル・オフサー(CTO)