自己紹介
サイエンス出版部 発行書籍
はじめまして、大海 忍(おおうみしのぶ)です。抗体にかかわる話題を提供することになりました。私がはじめて抗体を意識したのは1970年代後半で大学院生の頃です。研究テーマの対象が原核生物だったせいか、高等動物の複雑なしくみを何となく避けていたようにも思えます。 抗体作製のエキスパートから手ほどきをうけながら、自ら精製した大腸菌受容体たんぱく質をウサギに注射したことを記憶しています。当時はもちろんイムノブロットのような検出技法がなかったので、 オクタロニーで抗体がうまくできたことを確認しました。ニトロセルロース膜に転写した電気泳動像を蛍光標識抗体で染め暗室で緑色に光るバンドを見て感激したのは何年かあとになります。いまでは、モノクローン抗体をはじめとする様々な技術があり、 抗体が身近で扱いやすい存在になりましたが、私にとって大きな転機はペプチド合成機との出会いでした。 1987年、東京大学医科学研究所に赴任したとき、 故上代淑人教授に医科研3号館地階にあった430A(アプライドバイオシステムズ 社の固相ペプチド合成装置)を見せられ、「これ使ってみないか?」と誘われました。ちょうど医科研では、食細胞のスーパーオキシド産生系にかかわる新しい 研究テーマに取り組もうとしてました。白血球膜にある電子伝達たんぱく質やこれを活性化する関連分子の抗体を次々と作りました。 「次々と」抗体を作れたの は、免疫原に化学合成したペプチドを用いたからです。さらに、たんぱく質の限定分解やリン酸化など翻訳後修飾を受けた部位を特異的に認識する抗体も、この 抗ペプチド抗体の技術を応用すれば作成可能であることがわかってきました。ここでは、抗体に関わることを中心に、基礎から応用まで、ときには明確な答えがないとわかっていても、面白そうな話題を紹介したいと考えています。 【略歴・抗体歴など】1977 年
microPAC ナノLC キャピラリーLC用カラム
オーファン受容体研究におけるリガンド探索や新しい疾患代謝経路の解明に:Greenpharma ヒト内在性リガンドライブラリー
ラット・マウスのモノクローナル抗体精製に最適な高性能プロテインA アガロースビーズ Ab-Capcher
アプタマーでバイオセンサー開発:抗体と比較し多くのメリット - Novaptech
FFPE組織サンプル 深層ショットガンプロテオーム解析 受託サービス
著者: 大海 忍
このセクションは、元・東京大学医科学研究所 疾患プロテオミクスラボラトリ 准教授 大海 忍 先生による抗体入門講座です。
抗体に関する様々な話題や抗体実験で注意すべき点などを分かりやすくご紹介します。
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【大海 忍 先生 ご略歴】
1977年 東京大学理学部物理学科卒業
1978年 聖マリアンナ医科大学研究員
1983年 東京都臨床医学総合研究所 技術員
1987年 東京大学医科学研究所 助手
1992年 東京大学医科学研究所 助教授(准教授) 疾患プロテオミクスラボラトリ
2015年 バイオアソシエイツ株式会社 科学顧問に就任
【主な著書】
抗ペプチド抗体実験プロトコール(秀潤社)
細胞工学連載:ラボラトリーひとくちメモ(秀潤社)
抗ペプチド抗体ベーシック 立体構造情報から抗原を設計する(細胞工学 別冊)