太古のコオロギの鳴き声を再現!計算モデリングが解き明かす「音の化石」

太古のコオロギの鳴き声を再現!計算モデリングが解き明かす「音の化石」

夏の夜、どこからともなく聞こえてくるコオロギの涼しげな鳴き声。私たちにとって馴染み深いこの音色が、実は何百万年も前の地球の音を解き明かす鍵になるかもしれません。もし、博物館に眠る古い標本から、まるで生きているかのようにその鳴き声を再現できるとしたら、驚きませんか?カナダの研究チームが、まさにそんな夢のような技術を開発しました。最新のコンピューター技術と昆虫の翅(はね)の秘密に迫る、興味深い研究の世界を覗いてみましょう。 ウェスタン大学の研究者たちが、保存されているコオロギの翅の物理的な形状に基づき、その鳴き声を再構築する革新的な方法を開発しました。この研究は、保存標本からの測定値と計算モデリングを駆使したものです。この新しい最良規範は、2025年7月30日に学術誌Royal Society Open Scienceで発表されました。研究を主導したのは、ウェスタン大学生物学教授であり、無脊椎動物の神経生物学におけるカナダリサーチチェアを務めるナターシャ・マハトレ博士(Natasha Mhatre)と、彼女の研究室に所属していた3人の元学部生です。彼女の研究室では、昆虫やクモのコミュニケーションにおける生物物理学を調査しています。このオープンアクセスの論文は、「Reliable Reconstruction of Cricket Song from Biophysical Models and Preserved Specimens(生物物理モデルと保存標本からのコオロギの歌の信頼性の高い再構築)」と題されています。 今回の新しい研究で、マハトレ博士とその共同研究者たちは、これまでの試みよりもコオロギの実際の物理的特徴に忠実な、新しいコンピューターモデリング手法を詳述しています。この新モデルは、モデルの基になっていない新しい翅であっても、その正確な振動パターンを予測する

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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