ハトは人間の顔や特徴や感情表現を、人間と全く同じような方法で認識することを明らかにする研究がアイオワ大学(UI)の2人の研究者によって実施され、米国の眼科領域の専門誌「Journal of Vision」(2011年3月31日号)に発表された。実験では、特徴の異なる人間の顔の写真や、不機嫌な表情や笑顔のような様々な感情を表している写真をハトに見せた。
この実験から、ハトは人間のように、同じような顔の特徴や感情を示している人たちの顔の類似点を識別することが判明した。もう一つの実験がとても重要であったが、ここでのハトの任務は、こうした種々の特徴のうちの1個だけに着目し、その他を無視して写真を分類することであった。
アイオア大学教養学部心理学科に所属するDr. Ed Wasserman実験心理学Stuit教授と大学院生のFabian Soto氏の両氏によると、ハトは、人間の感情表現を認識した際に顔の特徴を無視するよりも、顔の特徴を認識した際に感情表現を無視するほうが簡単なことを見出した。「この左右非対称は、人間を被験者とした実験でもしばしば見られてきたことであり、常に、人間の顔処理システムのユニークな働きの結果であると解釈されてきた。」と、Soto氏は語る。さらに、「こうした作用は他の脊椎動物にも存在する知覚プロセスに起因する可能性があること示唆する証拠を、私たちは初めて提供した。
このプロジェクトのポイントは、私たち人間の行動と同じような方法でハトが人間の顔を識別するということではなく、人間が顔の認識のために特別なプロセスを用いているわけではない、ということである。むしろ重要なことは、特殊なプロセスと一般的なプロセスの双方とも、人間の顔の認知に関与しているはずであるということと、それぞれのプロセスの貢献度は経験ならびに入念な検討によって決められているはずである、ということである。」と、彼は付け加えた。
実際、この知見によって、顔認証のような複雑な働きのなかでは人間の認識プロセスがより一般的なプロセスと独特の相互作用を進めている可能性があるという科学者達の仮説について、自ら再考してもらうことが可能になった。
「知覚分野や認識分野の研究者の間では、彼らの概念を支持する目的で説得力のある実証的なデータを提供せずにこうした特殊なメカニズムを推測することは、汎用的である。他の研究者が人間のユニークな知覚や認識プロセスの進化についての見解を評価するために、比較研究をより多く実施するように、我々の研究が促進剤となることを願っている。」と、Dr. Wasserman氏が語った。
研究者には優れた展望があり、しかもハトが進化的に人間の近縁ではないために、このプロジェクトでハトについて研究した。
ハトは顔認識処理のための特別なシステムを有していないが、ハトが人間の顔を認識するように訓練された場合、ハトは人間と同様の結果を示す。これを最も単純に解釈すると、類似性は人間とハトという2つの種に共通の一般的な認知プロセスから生じるということである。
■原著へのリンクは英語版をご覧ください:Pigeons Can Recognize Human Faces and Emotions



