遺伝子を操る「影の司令塔」lncRNAの新たな制御メカニズムを発見

遺伝子を操る「影の司令塔」lncRNAの新たな制御メカニズムを発見

私たちの体の設計図である遺伝子。その働きを調整する「影の司令塔」がいることをご存知でしょうか?それは、タンパク質にはならない不思議なRNA、「長鎖ノンコーディングRNA」です。これまで謎に包まれてきたこの分子が、実は遺伝子のオン・オフを巧みに操るだけでなく、まるで二人三脚のようにターゲットとなる遺伝子を徹底的に管理する、驚くべき仕組みが明らかになりました。がんなどの病気の解明にもつながる、遺伝子制御の新たな世界を覗いてみましょう。 長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA: long non-coding RNA)は、タンパク質を作るための情報を持たないRNA分子の一種です。その代わりに、他の遺伝子がどのように発現するか(働くか)に影響を与えます。ヒトの体内には何万ものlncRNAが存在し、その多くは特定のがんのような組織や疾患で活発に機能しています。しかし、それらが具体的に何をしているのかを解明することは、これまで大きな課題でした。ベイラー医科大学の筆頭著者であるホア・シェン・チウ博士(Hua-Sheng Chiu, PhD)とソナル・ソムバンシ博士(Sonal Somvanshi, PhD)が率いる、ベイラー医科大学、ベルギーのゲント大学、中国の清華大学、およびその他の共同研究機関の研究者たちは、lncRNAがどのように機能するのかをより深く理解するために協力しました。その結果、lncRNAがこれまで知られていなかった協調的な方法で遺伝子発現を制御しているように見えることが明らかになりました。この研究は、今月(8月号)の「Cell Genomics」誌の表紙を飾り、オープンアクセス論文は「Coordinated Regulation by lncRNAs Results in Tight lncRNA-Target Couplings(lncRNAによる協調的制御

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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