老化の犯人は遺伝子の傷だった!「体細胞変異」が筋力低下や血管老化を引き起こすことを解明
年齢を重ねるとともに、筋力が衰えたり、血管が硬くなったりするのはなぜでしょうか。これまで、その原因は漠然とした「老化」という言葉で片付けられがちでした。しかし、スウェーデンの最新研究が、私たちの体内で生涯を通じて発生し蓄積していく遺伝子の変異(体細胞変異)が、筋力低下や血管の老化を直接引き起こす犯人であることを突き止めました。この発見は、老化関連疾患の治療に新たな道を開くかもしれません。 スウェーデンのカロリンスカ研究所による2つの新しい研究が、時間とともに筋肉や血管で生じる変異が老化にどのように影響するかを調査しました。科学雑誌『Nature Aging』に掲載されたこれらの研究は、そのような変異が筋力を低下させ、血管の老化を加速させる可能性があることを示しています。この結果は、加齢関連疾患の治療にとって重要な意味を持つ可能性があります。 体細胞変異とは、遺伝しない遺伝子の変化であり、生涯を通じて環境要因や、細胞が分裂前にDNAを複製する際のランダムなエラーによって生じます。この変異はがんを引き起こす可能性がありますが、それ以外の影響については議論が分かれていました。「私たちは、筋肉細胞や血管に蓄積する変異が、組織の機能や再生能力、つまり損傷した組織を新しい健康な細胞で置き換える能力に影響を与える可能性があることを発見しました。この能力もまた、加齢とともに低下するものです」と、主任研究者であり、カロリンスカ研究所フディンゲ校医学部のマリア・エリクソン教授(Maria Eriksson)は述べています。 早老症プロジェリアと同じ変異 2003年、エリクソン教授は、急速な老化と心血管系の合併症を特徴とする、極めて稀な小児の遺伝性疾患であるプロジェリアの遺伝的原因を発見しました。この病気の子供は、プロジェリンと呼ばれる病原性タンパク質の形成につながる変異を持っ
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Edited by Michael D. O'Neill

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