逆転写酵素がDNA合成を促進することを示す画期的な論文
サイエンス出版部 発行書籍
サセックス大学(英国)のAidan Doherty教授率いる研究チームが、Nucleic Acids Research(NAR)誌の "Breakthrough Article"で驚くべき成果を発表しました。彼らの研究では、CRISPRに関連する逆転写酵素(RT)がDNA合成のプライミングをRNAとDNAの両方で直接行うことが明らかにされ、さらにこのRT依存性のプライミングがいくつかのCRISPR-Cas複合体によって利用され、新しいスペーサーが合成され、CRISPRアレイに統合されることが示されました。 この重要な研究では、グループIIのイントロンRTやテロメラーゼ、HIVレトロウイルスRTなど、他の主要なRTクラスの代表者にもプライマー合成活性が保存されていることが明らかになっています。このオープンアクセス論文のタイトルは「Reverse Transcriptases Prime DNA(逆転写酵素プライムDNA)」で、2023年6月6日に発表されました。 DNAプライマー合成は、生物やウイルスのゲノムを増殖させる上で欠かせないプロセスであり、複製酵素であるDNAプライマーゼによって行われます。DNAプライミングは、細胞内の他の重要な作業、例えば損傷耐性や修復などにも必要なのです。 半世紀以上前、ノーベル賞受賞者であるHoward Temin博士とDavid Baltimore博士は、真核生物のRNAウイルスであるレトロウイルスがRNA依存性DNAポリメラーゼである逆転写酵素(RT)をコードしていることを突き止めました。これにより、RNAがDNAに逆転写されるという画期的な発見がなされました。以来、RTは原核細胞や真核細胞においても、レトロトランスポジションやテロメアの維持など、重要な役割を果たしていることが明らかになってきました。 RTのDNA合成機構は、
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