抗体づくりのトラブル談 その1.C末端配列が!
サイエンス出版部 発行書籍
実験には失敗がつきものです。なぜかというと、研究を推し進めるための実験は、ひとつひとつの実験結果をどう解釈し、次の実験をどのように計画するかによって、真実に近づくための手段となるか、道を踏み外して結局は無駄になってしまうか分かり得ないからです。 私が在職していた頃、卒業研究をほぼやり終えた学生が、卒論発表の時期になって、「実験方法と結果がはっきりしている研究テーマをもらえれば、このようなつまらない内容にはならなかった。」と愚痴って、近くにいた博士研究員や大学院生が慌てたことがありました。 彼の実験は失敗だったわけではなく、意外性のある結果が得られなかっただけです。どこぞのビッグジャーナルに論文発表することを夢見るような人は、これを失敗ととります。 しかし、実験そのものの失敗がない限り、ネガティブな結果でも立派な成果といえます。 本当は、一見つまらない結果でもしっかり記録して発表できることが望ましいです。前置きが長くなってしまいましたが、今回は抗体作成時の失敗についてです。 私が東京大学医科学研究所へ異動して間もない頃です。上司であった教授の研究テーマを手伝うことになり、白血球の活性酸素産生系に関わるたんぱく質の抗体を作り始めました。当時は、遺伝子が単離されつつある時期で、他の研究グループから配列情報を入手し、翻訳産物のアミノ酸配列をつらつら眺めて、免疫原に使うペプチドの設計をしていました。二つの研究室から別々に発表された配列をもとに、分子量47K のたんぱく質の N末端に近いところと C 末端を含む比較的長い部分を選び、ペプチドを化学合成しました。 その頃はアプライドバイオシステムズ社の430A 合成機を使用しており、tBoc 法で合成していました。(今では通常、よりマイルドな Fmoc 法で合成します。) N 末端アミノ基を保護する tBoc は
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著者: 大海 忍
このセクションは、元・東京大学医科学研究所 疾患プロテオミクスラボラトリ 准教授 大海 忍 先生による抗体入門講座です。
抗体に関する様々な話題や抗体実験で注意すべき点などを分かりやすくご紹介します。
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【大海 忍 先生 ご略歴】
1977年 東京大学理学部物理学科卒業
1978年 聖マリアンナ医科大学研究員
1983年 東京都臨床医学総合研究所 技術員
1987年 東京大学医科学研究所 助手
1992年 東京大学医科学研究所 助教授(准教授) 疾患プロテオミクスラボラトリ
2015年 バイオアソシエイツ株式会社 科学顧問に就任
【主な著書】
抗ペプチド抗体実験プロトコール(秀潤社)
細胞工学連載:ラボラトリーひとくちメモ(秀潤社)
抗ペプチド抗体ベーシック 立体構造情報から抗原を設計する(細胞工学 別冊)