非常識からの発見
サイエンス出版部 発行書籍
私が抗ペプチド抗体をはじめたきっかけは、以前に書いた通り、ペプチド合成機に出会ったからです。1980年代後半のことでした。東京大学医科学研究所の三号館地下の一室に鎮座していたアプライドバイオシステムズ社(当時の社名)の430A は名機でした。 当時はまだまだ普及していなかった 新しいケミストリー( Fmoc)にも対応していて、欠点といえば樹脂を攪拌するのがボルテクスミキサーのような動きだったので長鎖ペプチドの合成には不向きだったくらいです。 結局、本機では Fmoc 合成はやらずに、もっぱら tBoc 誘導体を使いました。ペプチドはグラム量を合成できたので抗体作成だけに使うには十分すぎでしたが、とにかく費用がとんでもなくかかって、赴任したての下っ端助手が共通機器の稼働経費を捻出するために委員会の偉い先生方に頭を下げて周ったのを思い出します。 このころの研究テーマは、白血球のスーパーオキシドアニオン産生系でした。特に、この電子伝達系の中心的存在であるb型シトクロム(Cytb)は、大小二種類のサブユニットから構成される膜たんぱく質で、食細胞の形質膜において細胞外の酸素分子に電子を渡すという酸化還元過程の重要な役割を担う分子です。Cytbが機能しないと、白血球は活性酸素を作れなく殺菌能が低下するので、重篤な易感染性を示すことになり、先天性疾患として慢性肉芽腫症(CGD; Chronic Granulomatous Disease)が知られています。上司(教授)からCytbの抗体を作るように言われ、ペプチド合成機の出番となったわけです。 Cytbは、複雑な膜内在性たんぱく質であり、精製や組換たんぱく質の発現が難しいことが予想されたため、方針は迷わず抗ペプチド抗体でした。 さて、当然のことだったかもしれませんが、周囲には抗ペプチド抗体をやれる研究者はおらず、サポート
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著者: 大海 忍
このセクションは、元・東京大学医科学研究所 疾患プロテオミクスラボラトリ 准教授 大海 忍 先生による抗体入門講座です。
抗体に関する様々な話題や抗体実験で注意すべき点などを分かりやすくご紹介します。
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【大海 忍 先生 ご略歴】
1977年 東京大学理学部物理学科卒業
1978年 聖マリアンナ医科大学研究員
1983年 東京都臨床医学総合研究所 技術員
1987年 東京大学医科学研究所 助手
1992年 東京大学医科学研究所 助教授(准教授) 疾患プロテオミクスラボラトリ
2015年 バイオアソシエイツ株式会社 科学顧問に就任
【主な著書】
抗ペプチド抗体実験プロトコール(秀潤社)
細胞工学連載:ラボラトリーひとくちメモ(秀潤社)
抗ペプチド抗体ベーシック 立体構造情報から抗原を設計する(細胞工学 別冊)