抗体ロボティクス


サイエンス出版部 発行書籍

私がまだ在職中、遠心機メーカーで技術を担当されていたかたが来られて、退職してロボットを受託して作る仕事をはじめたとのこと、そのときは漠然と「個別作業に特化した自動装置なんだ。それは良いな」と思ったものですが、いま改めて考えると、スモールビジネスとしては素晴らしいことと感心します。いまはどうされているでしょうか。バイオ研究の世界にも実験スタイルに変遷があります。   プロテオミクスが流行る前に、二次元電気泳動でジャイアントゲルというのがありました。一次元目の等電点電気泳動を長いキャピラリーで分離し二次元目も大きなサイズの SDS-PAGE で分離能を稼いでおき、大目のサンプルをのせれば、より高い分解能で今まで見えなかった微量たんぱく質も検出できるという目論見だったようです。 私がいたラボにも二次元電気泳動解析装置の付属品として入りました。 スラブゲルの面積で比較すると、当時私が使っていた通常サイズのゲルの数倍はありました。染色・脱色用のバットやシェーカーは大きいものを揃えてはみたものの、これだけ大きなゲルを何枚も並べて実験するスペース確保は厳しかったです。 結局、まともに使うことなくラボの片隅に放置されました。同じ頃、別メーカーのエンジニアがやってきて、ジャイアントゲルの良さを説いた挙句、どんな電気泳動装置を期待しているかと聞くので、顕微鏡で泳動像を観察できるようなものと応えると、理解できないという顔をして帰っていきました。 実験スペースの問題だけでなく、ダウンサイジングが必要と考えます。それも 並みのレベルではなくて、発想を変えた超スモールスケール化です。 バイオ研究でならば、細胞の中に入って解析ができるほどの大きさです。微細なものを調べるためには、それに相応した大きさのプローブが最適です。 そして、電気泳動のような物理化学的測定をするのではなく、生体分子そのもの

大海 忍

このセクションは、元・東京大学医科学研究所 疾患プロテオミクスラボラトリ 准教授 大海 忍 先生による抗体入門講座です。

抗体に関する様々な話題や抗体実験で注意すべき点などを分かりやすくご紹介します。

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【大海 忍 先生 ご略歴】
1977年 東京大学理学部物理学科卒業
1978年 聖マリアンナ医科大学研究員
1983年 東京都臨床医学総合研究所 技術員
1987年 東京大学医科学研究所 助手
1992年 東京大学医科学研究所 助教授(准教授) 疾患プロテオミクスラボラトリ
2015年 バイオアソシエイツ株式会社 科学顧問に就任

【主な著書】
抗ペプチド抗体実験プロトコール(秀潤社)
細胞工学連載:ラボラトリーひとくちメモ(秀潤社)
抗ペプチド抗体ベーシック 立体構造情報から抗原を設計する(細胞工学 別冊)

KAKEN