光合成能力を持つ新酵母株の開発:バイオエネルギーと進化の新展開
サイエンス出版部 発行書籍
ジョージア工科大学の生物科学部門の研究者らは、光にさらされることで成長が促進される世界初の酵母の株を開発しました。この研究は「Current Biology」誌に2024年1月12日に発表され、論文は「Transforming Yeast into a Facultative Photoheterotroph Via Expression of Vacuolar Rhodopsin(真空ロドプシンの発現による酵母の任意光栄養生物への変換)」と題されています。ジョージア工科大学のアンソニー・バーネッティ博士(Anthony Burnetti, PhD)、ウィリアム・ラットクリフ准教授(William Ratcliff, PhD)の研究室で働く研究者らは、酵母を光合成生物(光からエネルギーを取り入れ利用する生物)に変換することが、いかに簡単であったかについて驚いたと述べています。単一の遺伝子を移動させるだけで、光の中で暗闇よりも2%速く成長しました。細かい調整や慎重な誘導なしに、単純に機能したのです。 このように酵母に進化的に重要な特性を簡単に装備させることは、この特性がどのように起源を追い、バイオ燃料の生産、進化、細胞の老化などの研究にどう利用できるかについての理解を深める上で大きな意味を持ちます。 エネルギーを高めたい 研究チームは、多細胞生命の進化を探求する過去の研究に触発されました。彼らは昨年「Nature」誌にその多細胞性長期進化実験(MuLTEE)の最初の報告を発表し、その単細胞モデル生物「スノーフレーク酵母」が3,000世代にわたり多細胞性を進化させることができたことを明らかにしました。 これらの進化実験を通じて、多細胞進化にとっての大きな制約が一つ現れました。それはエネルギーです。 「酸素は組織の奥深くまで拡散するのが難しく、結果としてエネルギーを
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