糖尿病リスクは生まれつき決まる?膵臓β細胞の「個性」を解明した最新研究
「最近、周りで糖尿病になったという話をよく聞く…」そう感じていませんか?国民病ともいえる糖尿病ですが、そのなりやすさが、実はあなたが生まれる前、お母さんのお腹の中にいた頃の環境や、もっと言えば、あなたの体を作る細胞の「個性」によって左右されているとしたらどうでしょう。最新の研究が、糖尿病リスクの鍵を握る膵臓の細胞の多様性に迫り、将来の予防法や治療法に繋がるかもしれない発見を報告しました。 あなたの知人の中に糖尿病を発症する人が増えているように感じるとしたら、それは間違いではありません。米国糖尿病協会によると、2021年には米国の人口の10%以上にあたる約3840万人が糖尿病を患っており、毎年120万人が新たに診断されています。2型糖尿病(T2D)は、血中のグルコース濃度を調節するホルモンであるインスリンに対する抵抗性を体が発現することで起こります。インスリンはβ細胞と呼ばれる膵臓の細胞から分泌され、T2Dでは、これらの細胞が血糖値を調節しようとインスリン産生を増やしますが、それでも不十分で、最終的にβ細胞は時間とともに疲弊してしまいます。この重要性から、機能的なβ細胞量、つまりβ細胞の総数とその機能が、個人の糖尿病リスクを決定します。 β細胞は一個人でさえ均一ではなく、それぞれが独自の分泌機能、生存能力、分裂能力を持つ異なる「サブタイプ」で構成されています。言い換えれば、各β細胞サブタイプは異なるレベルの「適応度(フィットネス)」を持ち、それは高いほど良いということになります。糖尿病が発症すると、一部のβ細胞サブタイプの比率が変化します。しかし、重要な疑問が残されていました。それは、異なるβ細胞サブタイプの比率と適応度は糖尿病によって変化するのか、それともその変化が病気の原因なのか、という点です。 この問いに答えるべく立ち上がったのが、ヴァンダービルト大学の教
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Edited by Michael D. O'Neill

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