一人の患者を救う想いから生まれた奇跡。FUS-ALSに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド治療

一人の患者を救う想いから生まれた奇跡。FUS-ALSに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド治療

「この治療から、何を期待できますか?」難病と闘う患者さんからの問いに、研究者はいつも正直に答えてきました。「病気の進行を遅らせること、できれば食い止めること、それが私たちの望みです」と。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療において、「改善」は期待される言葉ではありませんでした。 しかし、その常識が今、覆されようとしています。ある実験的な治療薬を投与された患者の一部に、専門家ですら「前例がない」と驚くほどの機能回復が見られたのです。これは、絶望の淵にいた患者さんと、治療法開発に挑み続ける研究者たちの双方にとって、大きな希望の光となるかもしれません。 ALS治療に歴史的突破口か、実験薬が前例のない機能回復を示す コロンビア大学の神経学者であり科学者でもあるニール・シュナイダー医学博士(Neil Shneider, MD, PhD)は、実験的治療法の治験に協力してくれる筋萎縮性側索硬化症(ALS: amyotrophic lateral sclerosis、またはルー・ゲーリッグ病)の患者に話すとき、常に正直です。「患者さんはいつも私に『この治療から何を期待できますか?』と尋ねます」とシュナイダー医学博士は言います。「そして私はいつも、ほとんどの臨床試験では、病気の進行を遅らせること、あるいは進行を食い止めることができればと願っている、と答えるのです」。ですから、シュナイダー医学博士の研究努力から生まれた実験薬で治療された患者の一部が改善を示したとき、それは大きな驚きでした。 「ALSの新薬をテストする際、私たちは臨床的な改善を期待していません」とシュナイダー医学博士は語ります。「一人の患者さんに見られたのは、まさに前例のない機能回復です。これは私たちALS研究コミュニティにとって驚くべきことであり、深く動機づけられるものですが、ALS患者のコミュニティにとっても

Life Science News from Around the Globe

Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill

LinkedIn:Michael D. O'Neill

 

【サイエンス雑誌シリーズ】Amazonストアにて好評販売中!