DNA修復の新メカニズムを解明!遺伝性疾患への応用が期待される最新研究

DNA修復の新メカニズムを解明!遺伝性疾患への応用が期待される最新研究

サイエンス出版部 発行書籍

細胞がDNA損傷を修復する仕組みを解明——オランダ・Hubrecht研究所の最新研究ががん治療の可能性を拓く オランダのHubrecht研究所(Hubrecht Institute)に所属するKindグループの研究者らは、個々のヒト細胞内でDNA修復タンパク質がどのように機能するかを初めて詳細にマッピングすることに成功しました。本研究では、これらの修復タンパク質が「ハブ(hubs)」と呼ばれる修復拠点を形成し、協力してDNA損傷を修復することを明らかにしました。この新たな知見は、がん治療やDNA修復が関わる疾患の治療法改善につながる可能性があります。 この研究成果は、2024年11月21日付の科学誌Nature Communicationsに「Genome-Wide Profiling of DNA Repair Proteins in Single Cells(単一細胞におけるDNA修復タンパク質の全ゲノムプロファイリング)」というタイトルで発表されました。 DNA損傷と修復の重要性 DNAは遺伝情報を担う分子であり、通常の細胞活動に加えて紫外線や化学物質などの外的要因によって損傷を受けることがあります。これによりDNA鎖が切断され、適切に修復されない場合には遺伝子変異が蓄積し、がんなどの疾患を引き起こす可能性があります。細胞には、損傷を修復するための専用のタンパク質が備わっており、これらが損傷部位を認識し、結合することで修復プロセスが進行します。 単一細胞レベルでのDNA修復解析——従来研究との違い DNA修復の仕組みは細胞ごとに異なるため、個々の細胞を対象とした研究が不可欠です。しかし、DNAの損傷部位を特定することは極めて困難であり、その詳細なメカニズムは未解明の部分が多く残されていました。 「DNAの損傷がどこで起こるのか、またなぜ

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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