高々度の適応は遺伝子によるものなのか
サイエンス出版部 発行書籍
アンデス地方やチベット高原などの高地に住む人々は、幾代にも渡り低酸素条件での生活に適応してきた。このような特徴的かつ強力な選択圧で生活をする様は、進化論において教科書のように良い例である。しかし、その遺伝子がどのようにして生存優位性を得ているのかは未だ解明されていない。この謎を解くため、ペンシルベニア大学の研究チーム(以下ペン・チーム)は、初となるゲノムワイドな高々度適応性の研究を始めた。 研究は、高々度に適応する主要人口の3位にあたるエチオピア高地のアムハラ族を対象に行われた。 驚くべきことに、3つのグループは全て異なる遺伝的変異を持ち、この適応性は収束進化によるものであると見られる。「これらの3つのグループは異なる遺伝的アプローチをとり、高々度に対する適応性を身につけたのです。」と、本研究の上級著者、ペンシルベニア大学ペレルマン医学大学院遺伝学科および統合文化生物学科の統合知識学教授、セーラ・ティシュコフ博士は語る。本研究はティシュコフ博士に加え、ペレルマン医学大学院遺伝学科の研究員、ローラ・B・シェンフェルト博士のもと行われた。 その他遺伝学科の研究員で本研究に貢献したのはサミール・ソイ博士、サイモン・ソンプソン博士、アレッシア・ランシアーロ博士、ウィリアム・ベッグス博士、シャリア・ランベルト博士、およびジョセフ・P・ジャーヴィス博士である。本研究はペン・チームとアディスアベバ大学生物学科のドーウィット・ウォルド・メスケル博士、ドーウィット・アバーテ博士、そしてガリア・ベレイ博士の共同研究で、2012年1月20日付けのゲノム・バイオロジー誌に掲載された。進化論における基本原則の一つに、自然淘汰がある。生物が己の環境に適していればいるほど生存率は高まり、その遺伝子を残す事が出来る。高々度な環境は酸素濃度も低く、気候順化していない者は急激に気持ち悪くなり、死に
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