たんぱく質に対する抗体を作るときは、免疫原としてそのたんぱく質が必要です。以前は、たんぱく質を精製・純化しましたが、遺伝子が単離されているときはリコンビナントたんぱく質を用いることが多くなりました。そして1990年代に入ってペプチド合成の技術が普及しはじめると、たんぱく質の一部分を化学合成して免疫原に使う抗ペプチド抗体も選択肢のひとつに加わりました。

 

抗体分子はたんぱく質を構成する長いポリペプチド鎖のほんの数〜十数残基の領域に結合しますので、これくらいの長さのペプチドが合成できれば良いわけです。抗ペプチド抗体の技術は、抗原たんぱく質の特定の部分を狙って抗体を作成するので、モノクローン抗体に近い性質の抗体を得ることができ、リン酸化などたんぱく質の翻訳後修飾を識別する抗体の作成にも応用可能です。「抗ペプチド抗体はちょっと難しいし、あまりよい抗体ができないらしい」という声をときどき耳にします。いざ抗原ペプチドの設計をする段階で、遺伝子から翻訳される一次構造を眺めてどの部分のペプチドを抗原にしたらよいか迷ってしまうかもしれません。

たしかに、抗体の良し悪しは、抗原ペプチドのデザインに大きく依存します。簡単にポイントを言いますと、もとのたんぱく質がフォールディング(リフォールディング)したときに分子の外側に位置する部分を抗原ペプチドにすること、もうひとつは免疫原になったペプチドがもとのたんぱく質と同様なプロセッシングを免疫動物内でうけることです。

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