オピオイド不要の腹痛治療薬—腸特異的オキシトシンペプチドが痛みを抑制

サイエンス出版部 発行書籍
経口オキシトシン類似ペプチドが慢性腹痛治療の新たな可能性を示す—ウィーン大学研究チームが開発 ウィーン大学(University of Vienna)のマルクス・ムッテンタラー博士(Markus Muttenthaler, PhD)率いる研究チームが、慢性腹痛の経口治療薬となる新しいペプチドリード化合物を開発しました。本研究は、2024年10月9日にAngewandte Chemie国際版に掲載されました。この革新的な治療アプローチは、過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(IBD)などの疾患に対する、安全で非オピオイドベースの新しい選択肢を提供します。論文タイトルは「Oxytocin Analogues for the Oral Treatment of Abdominal Pain(腹痛の経口治療のためのオキシトシン類似体)」です。 革新的な疼痛管理アプローチ 現在、慢性腹痛の治療にはオピオイド系鎮痛薬が一般的に使用されています。しかし、オピオイドは以下のような重大な副作用を引き起こす可能性があります。 依存症のリスク(opioid addiction)—世界的なオピオイド危機を加速 消化器系の副作用(nausea, constipation)—嘔吐や便秘を引き起こす 中枢神経系への影響(fatigue, drowsiness)—疲労や眠気による生活の質(QoL)の低下 このような背景から、オピオイドに依存しない安全な治療法が求められています。 ムッテンタラー博士のチームは、この課題に対する解決策として、腸のオキシトシン受容体(oxytocin receptor)を標的とする新しい治療法を開発しました。 オキシトシンとは? オキシトシンは「愛情ホルモン(love hormone)」として知られていますが、痛みの調節にも関与することが明
医学系国際学会における英語ポスター発表をサポートします 。
同じカテゴリーの記事
Life Science News from Around the Globe
Edited by Michael D. O'Neill
バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill