人間の社会的認知は扁桃体と連携していた—不安・うつ病治療の新たな可能性

人間の社会的認知は扁桃体と連携していた—不安・うつ病治療の新たな可能性

サイエンス出版部 発行書籍

社会的認知ネットワークと扁桃体のつながりが明らかに—不安・うつ治療の新たな可能性 人間の脳はどのようにして他人の考えを推測する能力を進化させたのか? この問いに対する新たな答えが、ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部(Northwestern University Feinberg School of Medicine)の研究者たちによって導き出されました。この研究は、2024年11月22日にScience Advances誌に掲載され、社会的認知を担う進化的に新しい脳領域と、古代の脳領域である扁桃体との直接的な神経接続が明らかになりました。この発見は、不安症やうつ病といった精神疾患の新たな治療法につながる可能性を秘めています。 論文タイトルは「The Human Social Cognitive Network Contains Multiple Regions within the Amygdala(ヒト社会的認知ネットワークは扁桃体内の複数の領域を含む)」です。 人間が他人の思考を推測する仕組みとは? 「自分の発言が相手にどう受け取られたか? 自分のジョークは失礼だっただろうか?」 こうした考えが頭をよぎることは、誰しも経験があるでしょう。 本研究の責任著者であるノースウェスタン大学のロドリゴ・ブラガ博士(Rodrigo Braga, PhD)は、次のように説明します。 「私たちは多くの時間を『あの人はどう感じたのか?』『私の言動は問題なかったか?』と考えながら過ごします。この能力を支える脳の領域は、人類の進化の中で比較的新しく発達したものであることが今回の研究で示されました」 研究チームは、社会的認知を司る「社会的認知ネットワーク(social cognitive network)」が、進化的に古い脳領域である扁桃体と直接的につながって

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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