便中代謝物が示す子宮内膜症の新診断法と治療法

便中代謝物が示す子宮内膜症の新診断法と治療法

サイエンス出版部 発行書籍

腸内細菌叢が示す子宮内膜症の新たな診断と治療法の可能性 ベイラー医科大学(Baylor College of Medicine)の研究者らが主導するチームは、子宮内膜症患者の腸内代謝物に特徴的な変化を発見しました。この研究結果は、病気のメカニズムへの新たな理解を提供するとともに、非侵襲的な診断方法や腸内細菌叢を標的とした治療の設計に繋がる可能性を示唆しています。特に、患者の便中代謝物と炎症性腸疾患(IBD)との予想外の類似性が明らかになり、両疾患の診断と治療における画期的なアプローチが期待されています。この研究成果は2024年10月11日付でMedに「Identification of Distinct Stool Metabolites in Women with Endometriosis for Non-Invasive Diagnosis and Potential for Microbiota-Based Therapies(子宮内膜症患者における特徴的な便中代謝物の同定:非侵襲的診断と腸内細菌叢に基づく治療の可能性)」として発表されました。 子宮内膜症:難解で痛みを伴う疾患 子宮内膜症は、子宮内膜様組織が子宮外に存在することを特徴とする疾患で、約1億9800万人の女性に影響を与えています。強い骨盤痛、炎症、不妊などが主な症状ですが、現在の診断は主に侵襲的な腹腔鏡検査に依存しているため、診断が遅れることが多いのが現状です。しかし、腸内細菌由来の代謝物が新しい診断方法を示唆しており、便検査による早期発見が実現する可能性があります。 腸内細菌叢と子宮内膜症の関係 研究チームは、子宮内膜症患者18人と健康な女性31人の便サンプルを対象に、高度なメタボロミクス解析と16S細菌シーケンシングを実施しました。その結果、子宮内膜症では61種類の代謝物が有意に変化し

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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