脳の"司令塔"は存在しない?意思決定の常識を覆す「全脳活動マップ」が公開

脳の"司令塔"は存在しない?意思決定の常識を覆す「全脳活動マップ」が公開

私たちが何かを「決断」するとき、脳の中では一体何が起きているのでしょうか。これまでは、脳の特定の領域が司令塔となって指示を出していると考えられてきました。しかし、もしその常識が覆されるとしたら?今回、大規模な国際共同研究チームが、マウスの脳全体をかつてない解像度で観察し、意思決定がまるで壮大なオーケストラのように、脳の多くの領域が協調して行われるダイナミックなプロセスであることを突き止めました。脳科学の教科書を書き換えるかもしれない、驚くべき発見をご紹介します。 国際脳科学研究所(IBL: International Brain Laboratory)の研究者たちは、2025年9月3日に科学雑誌『Nature』に2本の論文を発表し、マウスの脳全体で意思決定がどのように展開されるかを単一細胞の解像度で明らかにした知見を公開しました。この脳全体の活動マップは、脳内の情報処理に関する従来の階層的な見方に異議を唱え、意思決定が多くの領域にわたって高度に協調した方法で分散していることを示しています。 IBLの共同設立者であり、ジュネーブ大学のグループリーダーでもあるアレクサンドル・プジェ教授(Alexandre Pouget)は次のように付け加えています。「意思決定中の単一ニューロンの活動を、脳全体にわたって完全にマッピングしたのはこれが初めてです。12の研究室でマウスの半数百万以上のニューロンから記録し、マウスの脳体積の95%に相当する279の脳領域をカバーした、前例のない規模です。意思決定の活動、特に報酬に関する活動は、脳をクリスマスツリーのように明るく照らし出しました。」 この脳マップは、ヨーロッパとアメリカの複数の大学にまたがる神経科学者たちによる大規模な国際共同研究によって実現しました。2017年に正式に発足したIBLは、複数の研究室で標準化されたツールセットとデ

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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