癌の早期可視化を可能にする造影剤
サイエンス出版部 発行書籍
一連の新しい造影剤により、腫瘍が悪性化する前の初期段階で「見る」ことが可能になるかもしれない。この化合物は酵素シクロオキシゲナーゼ−2(COX-2)のインヒビターに由来し、PETイメージングにも適用できるので、癌の検出、診断、および治療のための広範な用途の可能性を有する。バンダービルト大学の研究者達は、2011年10月号のCancer Prevention Research誌にこの新しい造影剤の説明を載せている。「これはCOX-2をターゲットとするPETイメージングで唯一、炎症や癌への適用が、動物モデルで実証された物なのです。」と、バンダービルト・ケミカルバイオロジー研究所の所長であり、今回の化合物開発チームのリーダーであるローレンス・マーネット博士は言う。 「COX-2は、正常組織にはほとんど見られない物質で、炎症性病変や癌の際に“オン”になります。そのため、分子イメージングにおいて魅力的なターゲットなのです。腫瘍が成長し、どんどん悪性になるにつれて、COX-2レベルも上がります。」と、マーネット博士は説明する。 COX-2をターゲットにするPETイメージングで検出可能な化合物を開発するため、生化学の研究助教授ジャシム・アディン博士は、抗炎症薬インドメタシンとセレコキシブの“コア”の化学構造を修飾し、様々なフッ素化合物を付加させた。この様なフッ素化合物がCOX-2の選択的インヒビターとして機能する事を実証した後、研究チームは最も有望な化合物に放射性フッ素(18-F)を組み入れた。この18-F化合物を動物モデルに静脈投与したところ、PETイメージングのための十分なシグナルを提供した。 研究チームは動物モデルを用いて、18-F化合物のインビボPET イメージングにおける有望性を実証した。使用されたのは足蹠の刺激誘発性炎症モデルラットと、ヒトの腫瘍を移植されたモデルマウ
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