イムノブロットのバンドを質量分析計で同定したい
サイエンス出版部 発行書籍
標的とする抗原が未同定のモノクローナル抗体をもっている研究者から以下のような相談がありました。「がん細胞に高発現している抗原に対するモノクローナル抗体をもっています。がん細胞の全たんぱく質を SDS-PAGE で分離しイムノブロットをおこなうと分子量が60K あたりのバンドが染まります。抗体が結合するバンドを質量分析計などを利用して同定したいと考えています。 具体的にどのような実験をすれば良いか教えて下さい。なお、SDS-PAGE のゲルをクマシーブリリアントブルー染色すると60K あたりの移動度には幾つものバンドが見えて、どのバンドが抗体で染まっているかは判断が難しいです。また、正常細胞をイムノブロットしたときは、同じ60K の位置にうっすらと染まるバンドがあります。 いかがでしょうか。細胞の全たんぱく質ですから SDS-PAGE だけで分離することは難しいですよね。SDS-PAGE の前に何か処理をするとか、あるいは SDS-PAGE の60K 付近をさらに分画するとか、なんでも結構です。アイデアを書き込んでいただくと幸いです。関連した実験操作に関する質問も歓迎します。
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著者: 大海 忍
このセクションは、元・東京大学医科学研究所 疾患プロテオミクスラボラトリ 准教授 大海 忍 先生による抗体入門講座です。
抗体に関する様々な話題や抗体実験で注意すべき点などを分かりやすくご紹介します。
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【大海 忍 先生 ご略歴】
1977年 東京大学理学部物理学科卒業
1978年 聖マリアンナ医科大学研究員
1983年 東京都臨床医学総合研究所 技術員
1987年 東京大学医科学研究所 助手
1992年 東京大学医科学研究所 助教授(准教授) 疾患プロテオミクスラボラトリ
2015年 バイオアソシエイツ株式会社 科学顧問に就任
【主な著書】
抗ペプチド抗体実験プロトコール(秀潤社)
細胞工学連載:ラボラトリーひとくちメモ(秀潤社)
抗ペプチド抗体ベーシック 立体構造情報から抗原を設計する(細胞工学 別冊)