320種の新種微生物が明らかに!食品安全性への影響

320種の新種微生物が明らかに!食品安全性への影響

サイエンス出版部 発行書籍

2024年8月29日付でCell誌に掲載された研究によると、普段私たちが摂取する食品に含まれる微生物群とそれがヒトの腸内細菌叢に与える影響について、これまでにない幅広い知見が示されました。この多機関による研究チームは、3つの異なる糞便サンプルコレクションから計2,500以上のメタゲノムサンプルを解析し、特定の食品の摂取に関連する腸内微生物を特定しました。この結果は食品の安全性や公衆衛生、さらなる研究の指針となる重要な意義を持っています。 食品微生物の網羅的調査 本研究は、イタリア・トレント大学のニッコロ・カルリーノ博士(Niccolò Carlino, PhD)を中心に行われ、新たに配列解析された食品メタゲノムデータを統合して「食品メタゲノムデータ(cFMD: curated Food Metagenomic Data)」というリソースを作成しました。 このデータベースには、食品関連の主要な2つの細菌ドメインと30の属に関するメタデータ、解析ツール、可視化機能が含まれており、食品科学分野の研究に大きく貢献します。 興味深いことに、この研究で特定された微生物種のうち320種はこれまでのいかなるデータベースにも記載されていない新種でした。さらに、半数近くの微生物は参照ゲノムを持たず、食品中の微生物の全容解明にはまだ課題が残されていることが示唆されています。 食品微生物とヒト腸内細菌叢の関連 研究の中でも特に注目すべきは、食品に含まれる微生物がヒト腸内細菌叢に与える潜在的な影響に関する結果です。食品由来の微生物は平均的な成人の腸内細菌叢において約3%を占めています。この割合は一見少なく見えるかもしれませんが、腸内細菌の多様性や機能性を維持する上で重要な役割を果たします。 また、ラクトカセイバチルス・パラカセイのような特定の細菌は、ヒトの腸内で効率的に定着できるこ

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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