20年来の謎解明!パーキンソン病関連タンパク質PINK1の構造と活性化メカニズム

20年来の謎解明!パーキンソン病関連タンパク質PINK1の構造と活性化メカニズム

サイエンス出版部 発行書籍

パーキンソン病――その名は、多くの人々に不安と困難をもたらす進行性の神経変性疾患として知られています。根本的な治療法がいまだ見つからない中、オーストラリアの研究機関から、この難病との闘いに光明を投じる画期的な発見が報告されました。ウォルター・アンド・イライザ・ホール医学研究所(WEHI: Walter and Eliza Hall Institute)の科学者たちが、パーキンソン病の発症に深く関わる「PINK1」というタンパク質の「働く姿」を、世界で初めて捉えることに成功したのです。このタンパク質は、細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアが傷ついたときに重要な役割を果たしますが、その詳細なメカニズムは20年以上も謎に包まれていました。今回、その構造とスイッチが入る瞬間が明らかになったことで、PINK1を標的とした新しい治療薬開発への道が大きく開かれると期待されています。2025年3月13日に科学誌「Science」で発表されたこの成果は、パーキンソン病治療の新たな夜明けを告げるものかもしれません。論文タイトルは「Structure of Human PINK1 at a Mitochondrial TOM-VDAC Array(ミトコンドリアTOM-VDACアレイにおけるヒトPINK1の構造)」です。 研究成果のポイント WEHIの研究者たちが、世界で初めてヒトPINK1の姿とその活性化の仕組みを発見しました。 PINK1は、アルツハイマー病に次いで2番目に多い神経変性疾患であるパーキンソン病に関連するタンパク質です。パーキンソン病には根治治療法がありません。 「Science」誌に掲載されたこの発見は、パーキンソン病との戦いにおける大きな前進であり、病気の進行を止める薬剤探索を加速させることが期待されます。 パーキンソン病は潜行性に進行し、診断までに数

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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