老化メカニズムの謎を解明!健康寿命を30%延ばす遺伝子操作

老化メカニズムの謎を解明!健康寿命を30%延ばす遺伝子操作

サイエンス出版部 発行書籍

フルーツバエの脳老化研究が示すF-アクチンの役割と健康寿命延長の可能性 加齢とともに物忘れが増えるのは、人間だけではありません。フルーツバエもまた年齢を重ねると認知機能が低下します。しかし、フルーツバエの寿命はわずか2カ月程度であるため、老化に伴う認知機能低下を理解する上で優れたモデル生物とされています。2024年10月25日にNature Communications誌に掲載された研究「Accumulation of F-Actin Drives Brain Aging and Limits Healthspan In Drosophila(F-アクチンの蓄積が脳老化を促進し、健康寿命を制限する)」は、細胞構造の維持に重要なタンパク質「F-アクチン(filamentous actin, F-actin)」が脳内で蓄積すると、細胞内の不要物を分解する仕組みが妨げられることを明らかにしました。 このプロセスの阻害により、不要なDNA、脂質、タンパク質、オルガネラ(細胞内小器官)が蓄積し、神経細胞の機能が低下して認知機能の衰えにつながるといいます。 さらに、研究チームは老化したフルーツバエの神経細胞におけるF-アクチンの蓄積を抑える遺伝子操作を行い、細胞のリサイクル機能を維持した結果、健康寿命が約30%延びたことを報告しています。 F-アクチンと老化の関連性 アクチンは、細胞の形状を維持する働きを持つタンパク質ファミリーであり、体内のさまざまな部位に存在しています。特にF-アクチンは、細胞の構造を支えるフィラメントを形成し、重要な機能を担います。しかし、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のデイビッド・ウォーカー博士(David Walker)率いる研究チームは、老化したフルーツバエの脳でF-アクチンの蓄積が増加していることを発見し、これが脳老化や全身の健

Life Science News from Around the Globe

Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill

LinkedIn:Michael D. O'Neill