ミトコンドリア病に新たな光—父性DNAとATPの謎
サイエンス出版部 発行書籍
父親由来のミトコンドリアが及ぼす影響—進化が排除を選んだ理由とビタミンK2の可能性 ミトコンドリアDNAは母親からのみ受け継がれる、というのは生物学の基本ですが、なぜ父親由来のミトコンドリアが排除されるのか、その理由は長らく謎でした。コロラド大学ボルダー校の研究者らは、2024年10月4日付のScience Advances誌に発表した研究で、この現象に新たな光を当てました。論文タイトルは「Moderate Embryonic Delay of Paternal Mitochondrial Elimination Impairs Mating and Cognition and Alters Behaviors of Adult Animals(父性ミトコンドリア除去の胚性遅延が交尾や認知を損ない、成体の行動を変化させる)」です。 この研究では、父親由来のミトコンドリアが胚に残存すると、成体で神経学的、行動的、生殖的な問題を引き起こす可能性があることが示されました。また、これらの問題を解決する可能性を持つ簡単な治療法として、ビタミンK2が提案されています。 父性ミトコンドリアの排除とその重要性 ミトコンドリアは細胞内の「バッテリー」と呼ばれ、アデノシン三リン酸(ATP)を生成して細胞の機能を支える重要な役割を果たしています。しかし、ミトコンドリアDNAは通常、母親からのみ受け継がれます。2016年、研究リーダーのシュー・ディン博士(Ding Xue, PhD)は、父性ミトコンドリアが自己破壊する「父性ミトコンドリア除去(PME)」という多面的なメカニズムを解明しました。この現象は線虫、げっ歯類、人間でも確認されています。 シュー博士は「進化は、父性ミトコンドリアを完全に排除するために複数のメカニズムを採用しているのです」と述べています。父性ミトコンドリアは受精
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