抗菌作用を持つGBP1タンパク質の仕組みを解明

オランダ・デルフト工科大学の研究者らが、私たちの自然免疫の重要な構成要素である「GBP1(guanylate binding protein 1)」タンパク質の働き方を初めて明らかにしました。この研究成果は、2024年10月11日にNature Structural & Molecular Biologyに公開されたオープンアクセス論文「Structural Basis of Antimicrobial Membrane Coat Assembly by Human GBP1(ヒトGBP1による抗菌膜コート形成の構造基盤)」に詳述されています。この知見は、免疫力が弱い人々のための治療法や薬剤の開発に役立つ可能性があります。

GBP1の役割と免疫への貢献

GBP1は、細菌や寄生虫といった病原体に対して私たちの体が持つ自然免疫の「最前線」で働くタンパク質です。デルフト工科大学の生物物理学者アルイェン・ヤコビ博士(Arjen Jakobi, PhD)は、「GBPは赤痢やチフス、結核といった細菌性疾患のほか、妊娠中や胎児に危険なトキソプラズマ症や性感染症のクラミジアに対しても重要な役割を果たします」と説明しています。

細菌を包み込むタンパク質のコート

ヤコビ博士の研究グループの大学院生であり、本論文の筆頭著者であるターニャ・クーム氏(Tanja Kuhm)は、GBP1がどのように細菌を攻撃するのかを次のように解説します。「このタンパク質は細菌を『コート』で包み込み、そのコートを締め付けて細菌の膜を破壊します。この膜は侵入者を保護する層ですが、破壊されると免疫細胞が感染を除去できるようになります。」

防御メカニズムの解明

研究者たちは、クライオ電子顕微鏡を用いてGBP1タンパク質が細菌の膜にどのように結合するのかを詳細に調べました。その結果、タンパク質が膜を包み込む様子を分子レベルで三次元的に描写することに成功しました。また、AMOLF研究所のサンダー・タンス氏(Sander Tans)の研究グループとの共同研究により、生物物理学的実験を通じてシステムを精密に操作し、GBP1の抗菌機能の仕組みを解明しました。

医薬品開発への期待

ヤコビ博士は、「私たちの体がどのように細菌感染に立ち向かうのかを深く理解することで、このタンパク質を活性化または不活性化する薬剤の開発が進めば、特定の感染症を迅速に排除できる可能性があります」と述べています。

画像:GBP1タンパク質(青と紫)が細菌(黄色)の膜に付着する様子を電子顕微鏡で拡大した図(グレースケール)

Credit:デルフト工科大学

[News release] [Nature Structure & Molecular Biology article]

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