シカゴのUniversity of Illinois (UIC) の研究チームが、「傷に低強度の振動を与えることで治癒が早まる可能性がある」という研究報告を発表している。2型糖尿病に悩む1,800万人のアメリカ国民にとって、また特に2型糖尿病患者の4人に1人は足の潰瘍に苦しんでいるため、マウスを対象にして行われた研究で傷の治癒が早まったというニュースは朗報である。2型糖尿病患者の傷は治りにくく、慢性化したり、時には急激に悪化する場合もある。
UIC College of Applied Health Sciencesの運動学・栄養学教授、Dr. Timothy Kohは、ニューヨークのStony Brook Universityの研究に興味を持った。その研究は極低強度信号を与えることで骨組織再生を加速したというもので、Dr. Kohは、「このテクニックはすでに臨床試験にかけられており、振動が骨の健康を改善し、骨粗鬆症を予防するかどうかを研究しているところだ」と述べている。また、UICのDr. Kohと同僚研究者は、Stony BrookのDr. Stefan Judexと共同で研究を進め、同じテクニックを糖尿病患者の傷の治癒過程の改善に使えないか研究している。
糖尿病のマウス・モデルを使った新しい研究の論文が2014年3月11日付オープン・アクセス・ジャーナルPLOS ONEのオンライン版に掲載されている。実験に用いられている低振幅振動は手で触れてもほとんど感じられない程度のもので、研究論文の第一著者、UICの運動学・栄養学ポスドク研究員、Dr. Eileen Weinheimer-Hausは、「この振動は大きく揺れる地震というよりはかすかにブーンと鳴っているという感じだ」と述べている。研究の結果、週5回、各30分間、振動にさらしたマウスは、対照グループのマウスに比べて傷の治りが速かった。振動にさらされた傷は、さらされなかった傷に比べると、傷治癒過程初期に重要な役割を果たす肉芽組織と呼ばれる組織の量が大きかった。
Dr. Weinheimer-Hausは、「組織が新しい血管組織を形成する、血管形成と呼ばれる過程で、振動がこの組織形成を助けており、さらには治癒を促進する増殖因子やケモカインと呼ばれる信号分子の発現が増えていた」と述べている。
Dr. Kohも、「糖尿病患者の慢性創傷は肉芽組織ができず、血管形成も不良だ。このようなことが糖尿病患者の創傷が治りにくい原因になっている」と述べている。Dr. Kohと同僚研究者は、振動を与えられた傷口の肉芽細胞増加や遺伝子発現が治癒過程改善の原因になっているのかどうかを突き止めようとしている。Dr. Kohは、「この処理に期待を持てるのは、人間患者を対象にして試験することが容易だということだ。このテクニックは無侵襲的だし、薬剤も必要としない。また既に人間患者を対象に骨喪失の防止に役立つかどうか治験が行われている」と述べている。また、UICのWound Healing Clinic DirectorのDr. William Ennisとの臨床研究も計画しているとも述べている。
■原著へのリンクは英語版をご覧ください: Low-Intensity Vibrations May Speed Wound Healing in Diabetics



