神経変性疾患PSPに新たな希望:史上初の効果的治療薬を目指す臨床試験

神経変性疾患PSPに新たな希望:史上初の効果的治療薬を目指す臨床試験

サイエンス出版部 発行書籍

臨床試験で治療薬への希望:進行性核上性麻痺(PSP)治療の新たな挑戦 進行性核上性麻痺(PSP)は、治療法が限られ、症状発症から約7年で致死的となる神経変性疾患です。この難病に対する治療薬開発を目的にした臨床試験が、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)を主導として最大50の研究施設で行われます。この試験は、最大75.4百万ドルのNIH国立老化研究所(NIA)からの助成金により可能となり、UCSFが最近受けた中でも最も大規模な助成の一つです。 「本試験がPSP患者のケアを根本的に変えるきっかけとなることを期待しています」と、UCSF神経学部門のフリオ・ロハス博士(Julio Rojas, MD, PhD)は述べています。ロハス博士は、このプラットフォーム試験の主要研究者の一人であり、PSPの進行をわずか20〜30%でも遅らせることが患者にとって大きな意味を持つと指摘します。 PSPの特徴と治療への課題 PSPはタウタンパク質の蓄積により脳細胞が弱まり、死滅することで引き起こされるとされています。30,000人のアメリカ人に影響を及ぼし、主に50〜70代の患者が発症します。特にリチャードソン症候群(Richardson’s syndrome)はPSPの中で最も一般的な形態であり、認知障害、動作の遅れ、硬直、後方への転倒、目の動き(特に下方向)の困難を伴います。 革新的な試験デザイン この試験では、3種類の薬剤を同時にテストし、それ以降も新しい薬剤を加えていくプラットフォーム型試験モデルが採用されています。この手法は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の試験で成功を収めた方法を応用しており、治療薬の発見を迅速化するとともに、プラセボ群を最小化する利点があります。 「通常の臨床試験と異なり、プラットフォーム試験は、初期の薬剤が無効であっても新しい薬剤を継

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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