ファージの尾を乗っ取る「海賊ウイルス」。薬剤耐性の謎を解き、AIも同じ結論に
私たちの目には見えないミクロの世界では、まるで海賊のようなウイルスが存在します。彼らは自力で細菌に侵入するための「船体(尾部)」を持っていませんが、他のウイルスからそれを巧みに奪い取り、細菌の世界に危険な「積み荷(遺伝子)」を運び込みます。この「ウイルスの海賊行為」こそが、細菌が抗生物質への耐性といった厄介な能力を獲得する主要なルートの一つでした。この度、インペリアル・カレッジ・ロンドンの科学者たちが、この海賊行為の驚くべきメカニズムを解明しました。この発見は、薬剤耐性菌との戦いに新たな武器をもたらすだけでなく、驚くべきことに、最先端のAIも人間が何年もかけた研究と同じ結論にわずか数日でたどり着き、科学の未来を予感させます。 インペリアル・カレッジ・ロンドンの科学者たちは、バクテリオファージが他のウイルスを乗っ取って細菌細胞に侵入し、拡散する仕組みを解明しました。この微生物の海賊行為は、医療に応用できる可能性があります。2025年9月9日に学術誌Cellで発表されたこの発見は、細菌が病原性を高めたり、抗生物質への耐性を強めたりする形質を含む、新しい遺伝物質を獲得する主要な経路を明らかにしました。研究者たちは、これが薬剤耐性という世界的な脅威に取り組み、迅速な診断ツールを開発する新たな道を開く可能性があると考えています。このオープンアクセスの論文は「Chimeric Infective Particles Expand Species Boundaries in Phage-Inducible Chromosomal Island Mobilization(キメラ感染性粒子がファージ誘導性染色体アイランドの動員における種境界を拡大する)」と題されています。 ファージ(またはバクテリオファージ)は、細菌に感染して殺すウイルスです。地球上で最も豊富な生物の一つであり、多く
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Edited by Michael D. O'Neill

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