何十年もの間、科学者や医者は土壌中のバクテリアがある種の膵臓癌のための重要な治療薬である抗生物質化合物のストレプトゾトシンを製造することを知っていたが、バクテリアがどうやってそれを合成するのか不明だった。
ハーバード大学の化学・化学生物学教授のEmily Balskus博士が率いる研究者チームはそのプロセスを解明し、この化合物が酵素経路を介して生産されることを初めて示し、そのプロセスを推進する新たな化学を明らかにした。

 

この研究は、2019年2月6日にNatureのオンラインに掲載された。 この論文は、「ストレプトゾトシンのファルマコフォアを構成するN-ニトロソ化金属酵素(An N-Nitrosating Metalloenzyme Constructs the Pharmacophore of Streptozotocin.)」と題されている。

この分子を効果的な抗癌剤にするものは、ニトロソアミンとして知られている化学構造だ - これをBalskus博士は分子の反応性の「弾頭」と呼ぶ。 反応性が高いことが知られているニトロソアミンは、他の多くの化合物に対して有毒であることが示されており、たばこから塩漬け肉まであらゆるものに見られる発癌物質として癌治療以外で最も一般的に知られている。

「この化学的モチーフは生物学的関連性が非常に高く、徹底的に調査されてきた。我々が研究するまで、この化学的モチーフが生物学的システムにおいてどのように生成されたのかという見解に非酵素化学が含まれていた - それは単に適切な条件下で起こったことにすぎない。」とBalskus博士は述べた。

しかし、Balskus博士とその同僚は、この経緯はもっと複雑かもしれないと疑い、細菌がニトロソアミン化合物を生産するための自然な経路を進化させたかどうか探求に着手した。 「それがこの論文で我々が見つけたものだ。我々は、細菌がストレプトゾトシンを構築するために使用する生合成遺伝子と生合成酵素を発見した。」と彼女は説明した。


明らかにされたことは、ニトロソアミンを製造するための他のすべての既知の経路とは全く異なる方法でこの官能基が作られるという点だ。 Balskus博士らは、2つの異なるドメインを持つ鉄依存性酵素で、それぞれがプロセスの異なるステップを触媒するものであることを発見した。

「これらのドメインは両方とも酵素の他の化学と関連していたが、このタンパク質の経路では、どちらも本当に新しいことをしている」とBalskus博士は述べた。「全体的に見て、純粋に化学的観点からすると、非常にエキサイティングな酵素だ。」
生物学的観点からも同様にエキサイティングである、と彼女は付け加えた。

「我々がこのような酵素について細菌ゲノムを検索すると、ヒトの病原体や植物と共生する生物の遺伝子クラスターに含まれるものが引っ掛かる。」とBalskus博士は語った。 「だから、我々は自然がこのような化合物をどのように使っているのかを過小評価しているようだ。このタイプの官能基を作るための専用の酵素があるという発見、そしてそれが非常に多くのタイプの微生物によって作られるという事実は、生物学にとって重要な役割を示唆している。」

Balskus博士は、共同研究者と一緒に酵素が分子レベルでどのように機能するかを理解し、ニトロソアミン製造の中間段階をよりよく理解するように取り組んでいると述べた。
Balskus博士はまた、他の細菌、特にヒトの病原体が、潜在的に有毒な化合物を生成するために類似の酵素に依存しているかどうか、またその方法を調査したいと考えている。

「我々は、この新しいタイプの酵素が、ヒトの病原体が宿主を傷つける何かを許しているかどうかという質問に答えたいと思う。これらの遺伝子クラスターが見つかったので、他のN-ニトロソアミン含有化合物が何をしているのか、調査することができる。」と彼女は語った。

【BioQuick News:Pathway for Bacterial Synthesis of Streptozotocin Revealed; Antibiotic Also Treatment for Pancreatic Cancer; Molecule’s Reactive “Warhead” Is Nitrosamine; Nitrosamine Reaction “Has Very Limited, If Any, Precedent in Biological or Synthetic Chemistry"

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