無水ヒドラジンによる生体資材からのヒト型糖鎖調製法


サイエンス出版部 発行書籍

第2の切り出し法は無水ヒドラジンを使う化学的な方法である。無水ヒドラジンで糖鎖を切り出す場合、基本的に化学反応であるため酵素の様な基質特異性もなく、糖タンパク質上に発現しているすべての糖鎖を切り出すことができる。また、糖タンパク質などの生体資材から直接糖鎖を切り出すため、酵素に比べてコストが低く、このため実量(mgオーダー以上)の糖鎖調製が可能である。   しかし、切り出し反応に用いる無水ヒドラジンはロケット燃料として利用される化学物質でもあり、特に爆発性を有しているので取り扱いには厳重な注意が必要である。さらに、生体資材から切り出される糖鎖をすべて分離せねばならず、手間がかかるという問題点も含んでいる。 その一方で、少ない種類の生体物質から一度に糖鎖構造のバリエーションを揃えることも可能である(1種類の生体資材から約10種類の糖鎖が調製可能)。