糖鎖水解酵素による生体資材からのヒト型糖鎖調製法


サイエンス出版部 発行書籍

生体資材を使ったヒト型糖鎖調製法は切り出し条件の違いによって2種類ある。第一に、糖鎖水解酵素を使って糖タンパク質から糖鎖を切り出すことでヒト型糖鎖を調製する方法があげられる(図3)。糖タンパク質上に発現している糖鎖の構造情報は、1980年代以降、多くの研究者によって精力的に研究されてきたので、どの糖タンパク質を使えば、必要な糖鎖を入手できるかが事前に分かる。   また、切り出し反応に酵素を利用することから、安全、かつ簡便に糖鎖調製をおこなうことができる。 一方では、目的糖鎖を持つ糖タンパク質を予め精製しなければならないこと、酵素反応を利用しているため水溶性でなければならないこと、酵素を利用するため比較的高コストになること、また酵素の基質特異性のため切り出し効率の低い糖鎖ができることなどの理由から、酵素の基質として利用できる程度(数十nmol=数μg)の調製が一般的な合成スケールである。