まず、いくつかの主要用語を定義し、区別しておくことが重要である。まず、「targeted proteomics」と「discovery proteomics」であるが、「discovery proteomics」は、がんその他の疾患と関連している可能性のあるごく少数の「バイオマーカー」を突き止めることを目的として大量の発現タンパク質、それも未知のものも多いタンパク質を解析するためにMS技術を利用する研究者の分野の用語である。
発見したバイオマーカーは、試験によって検証され、理想としては最終的に疾患の診断観察のアッセイとして臨床に採用される。臨床現場で複数のバイオマーカーを解析する場合には、臨床医が、研究者によって疾患の状況の指標として検証済みの特定のバイオマーカーを探し、定量化する作業を行うもので、「targeted proteomics」と呼ばれる。
さらに、「targeted proteomics」と「targeted protein analysis」とを区別しておかなければならない。「targeted proteomics」では、複数の既知のタンパク質 (通常は「バイオマーカー」) を同時に解析定量化する。
それに対して、「targeted protein analysis」では、一つのタンパク質だけが解析対象となる。この解析は単純で、イムノアッセイやLC-MS/MSで行われることが多い。「targeted proteomics」では、多重化も行われ、現在のところその作業は難しく、まだそれほど普及していない。しかし、将来的な可能性は大きく、また、臨床的にも重要な用途が考えられる。
その他、hyper reaction monitoring-MS (HRM-MS)、multiple reaction monitoring-MS (MRM-MS)、parallel reaction monitoring-MS (PRM-MS) を区別することも重要であり、以下に述べる。


