抗 DNP 抗体の活用法
サイエンス出版部 発行書籍
皆さんタグの抗体は実験でお使いかもしれません。His タグ、FRAG タグなど、タグの配列を組換えたんぱく質に入れ込んでおくと、遺伝子導入したたんぱく質を抗体で高感度に検出できるという便利なツールです。 今回は、ペプチドの化学合成でタグとして ジニトロフェニル(DNP)基を導入する方法と抗 DNP 抗体の活用についてです。DNP は代表的なハプテンで、モノクロ、ポリクロにかかわらず使える抗 DNP 抗体がたくさん出回っています。 少しペプチドの化学合成についてお話ししておきます。 ペプチド合成は、固相の自動合成機が普及して、生命科学領域における合成ペプチドの利用が高まりました。 1980年代後半のことでしたが、私のような有機化学合成の経験がない専門外の研究者でも合成機の運転と後処理の方法を覚えてしまえば、手軽に化学合成ペプチドを実験に使うことができたわけです。 ペプチドの固相合成では、樹脂の上にアミノ酸誘導体を C 末端から N 末端方向に一個ずつ伸長させます。アミノ酸誘導体は側鎖と骨格の α アミノ基を保護基でプロックしたもので、樹脂に結合したアミノ酸誘導体から保護基を外し α アミノ基をフリーにして、ここに2番目のアミノ酸誘導体のカルボキシ基を活性化して縮合させるサイクルを繰り返していきます。 合成機によるペプチド鎖の伸長の段階では、N 末端に位置する α アミノ基だけが逐次遊離状態になり、側鎖の保護基は基本的に保たれています。自動合成によるペプチド鎖伸長が終わると、樹脂からペプチドを外すと同時に側鎖の保護基も除去します。こうして遊離させたペプチドを HPLC などで精製して実験に使います。 当初の合成機では、α アミノ基が t-butyloxycarbonyl (Boc)基で保護されたアミノ酸誘導体を用いましたが、より温和な条件下での fluore
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著者: 大海 忍
このセクションは、元・東京大学医科学研究所 疾患プロテオミクスラボラトリ 准教授 大海 忍 先生による抗体入門講座です。
抗体に関する様々な話題や抗体実験で注意すべき点などを分かりやすくご紹介します。
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【大海 忍 先生 ご略歴】
1977年 東京大学理学部物理学科卒業
1978年 聖マリアンナ医科大学研究員
1983年 東京都臨床医学総合研究所 技術員
1987年 東京大学医科学研究所 助手
1992年 東京大学医科学研究所 助教授(准教授) 疾患プロテオミクスラボラトリ
2015年 バイオアソシエイツ株式会社 科学顧問に就任
【主な著書】
抗ペプチド抗体実験プロトコール(秀潤社)
細胞工学連載:ラボラトリーひとくちメモ(秀潤社)
抗ペプチド抗体ベーシック 立体構造情報から抗原を設計する(細胞工学 別冊)