MSMS(タンデム質量分析)の動作や用語(2)
サイエンス出版部 発行書籍
質量分析屋の髙橋です。前回、MS/MSの種類を5つ挙げ、その中のプロダクトイオン分析について解説しました。プロダクトイオン分析は、未知化合物等の定性に用いられますが、今日は、プロダクトイオン分析と装置の動作原理は非常に似ていて、定量分析に用いられる選択反応モニタリング(selected reaction monitoring, SRM)について解説します。SRMは、分析現場においては、殆どはQqQ-MSを用いて行われる手法です。原理的には、Sector-MSやIT-MSにおいても実行可能です。ここでは、主にQqQ-MSによるSRMについて、その動作や用語について整理してみたいと思います。 SRMについて解説する前に、SIM(選択イオンモニタリング, selected ion monitoring)について確認しておきましょう。SIMは、Q-MSなどの電圧走査タイプの質量分析計において、主に定量分析に用いられる測定法です。Q-MSにおける印加電圧とイオンの安定振動領域の関係を図1に示します。 図1 Q-MSにおける電圧走査とイオンの安定振動領域 直流電圧と高周波電圧の比を一定に保ちながら、電圧走査線に沿って連続的に変化させると、イオンはm/zの小さい順に四重極を通過して検出器に到達し、マススペクトルとして記録されます。この電圧を連続的に走査する測定法を、スキャン測定と言います。一方、この電圧走査線に沿った変化を、連続的ではなく段階的に変化させ、特定のm/zのイオンのみQを通過させて検出する方法がSIMです。定量分析では何故SIMが用いられるか? それは、1つのイオンがQを通過し検出器に到達する時間を、スキャン測定よりも長く保つ事が出来、結果として多くのイオンを検出する事が出来るためです。 図1から分かる通り、Q-MSにおけるスキャン測定では、あるm/z
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著者: 髙橋 豊
このセクションは、質量分析に関する技術コンサルティングを提供するエムエス・ソリューションズ株式会社 髙橋 豊 氏によるLC-MS講座です。
バイオ研究者向けにLC-MSに関する様々な話題やLC-MSの操作で注意すべき点などを分かりやすくご紹介します。
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【髙橋 豊 氏 ご略歴】
1987年3月 国立群馬工業高等専門学校卒業
1990年3月 群馬大学大学院工学研究科修士課程修了
1990年4月 日本電子株式会社入社 応用研究センターMSG研究員
2002年4月 NEDOマイクロ化学プロセス技術研究組合出向
2005年4月 解出向 同社開発本部研究員
2008年4月 横浜国立大学客員教授(~2009年3月)
2010年6月 日本電子株式会社退職
2010年8月 エムエス・ソリューションズ株式会社設立、代表取締役
2011年4月 横浜市立大学非常勤講師
2019年2月 株式会社プレッパーズ(浜松医科大学発ベンチャー)設立 代表取締役社長
【主な著書】
LC/MS定量分析入門(情報機構)
液クロ虎の巻シリーズ(丸善)
分析試料前処理ハンドブック(丸善)
液クロ実験 How to マニュアル(医学評論社)
LC/MS, LC/MS/MSの基礎と応用(オーム社)
現代質量分析学(化学同人)
【受賞歴】
2004年 日本質量分析学会奨励賞
【資格】
日本分析化学会認証 LC分析士二段、LC/MS分析士五段
【趣味】
トライアスロン、マラソン、ウルトラマラソン、ソフトボール、テニス、スキー(全日本スキー連盟指導員)、サッカー審判員(3級)