糖鎖合成酵素によるヒト型糖鎖合成法


サイエンス出版部 発行書籍

糖鎖を合成する場合、最も簡単におこなえる方法は糖鎖合成酵素を使った方法である。 酵素合成の場合、基質特異性があるので、基質と酵素を混ぜるだけで、目的物ができる。 また、生体内で微量にしか発現していないような糖鎖であっても、構造さえ分かれば、酵素を組み合わせることで迅速、簡便な合成が可能である。 このように、酵素の組み合わせにより(結合様式、結合位置の違い)、多種類の糖鎖を合成することが可能な点は本手法の最大の利点である。 一方、現状では酵素の大量発現が難しいこと、基質となる糖ヌクレオチドが高価であることなどの問題点があり、質量分析やHPLC、キャピラリー電気泳動の標準物質(分子質量や溶出位置の確認に利用)として利用する程度の量(数百pmol=数百ng)が一般的な合成スケールである。