がん先端診断への応用が期待されるCTC解析の動向について


サイエンス出版部 発行書籍

【目次】 CTCsとは?/ CTCsが注目される2つの背景/ CTCs診断の標準法/ 今日的課題-診断的側面/ CTCs検出法の種類/ 分析技術的課題/ 米国におけるIVDとLDTの動向/ まとめ 【CTCsとは?】 がん組織から脱離して、血流に乗って全身を循環するがん細胞をCTCs(Circulating Tumor Cells)と呼称する。更に、それをバイオマーカーとしてより正確な診断や予後管理を行う技術も含まれる。     【CTCsが注目される2つの背景】 1:Liquid Biopsy確定した診断結果に基づいて適切な治療法が患者に適用される。それでは「診断結果」とは何が一般的かといえば、疾患の予後の重要性が考慮される場合には組織生検が最も確実であるのが現状である。しかし、組織生検は侵襲性が高い上に、重篤な合併症を発症する可能性もある。(例えば慢性腎不全において人工透析適用の可否を決定する確定診断は、腎生検であることが2013ガイドラインで明記されているが、その実施率は5.3%に過ぎない。)オンコロジー領域でも、生検が難しい卵巣がん、前立腺がん、腎がん、肺がん、すい臓がん等においても同様の問題を抱えている。組織生検を血液検査で代替えする利便性の追求であり、「Liquid Biopsy」と表現される事もある。 近年では、組織生検につきまとうサンプルバイアスを克服する新しい手段として注目されている。例えば、2012年日本胃癌学会総会における熊本大学院生命科学研究部のDr.岩崎氏等が、胃癌組織生検ではHER2抗原が陰性であったが血中CTCsが顕著に上昇していた症例を報告。1年6ヶ月後に患者が死亡後、解剖した結果、胃癌粘膜面ではHER2陽性細胞は認められなかったが、腫瘍深層部には陽性細胞が確認されており、この組織が脱離しCTCsとして検知されたものと考えら

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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