LC/MSにおける試料調製や前処理で重要なポイント
サイエンス出版部 発行書籍
こんにちは。質量分析屋の髙橋です。LC/MSにおける試料調製や前処理として何をするか?は、試料の内容によって異なります。“溶解”、“ろ過”、“遠心分離”、“固相抽出”、“溶媒抽出”、“除タンパク”、などなど。LC/MSに供される試料は液体ですから、何等かの溶媒は必ずと言っていい程頻繁に使います。そして、溶媒を扱う時のピペッターや容器。 これらは、前処理の内容に関係なく必須であると考えてよいでしょう。そしてLC/MSにおける試料調製や前処理で重要なポイントの1つは、操作に用いるこれら溶媒や容器類を使ったブランク試料を準備することです。 例えば、“固体試料を遠沈管に計りとり、超純水をピペッターで加えて溶解し遠心分離、上清をピペッターを使って吸い取り、オートサンプラーバイアルに移してキャップをする”という試料調製をするとします。ここで使うのは、遠沈管、超純水、ピペッター、オートサンプラーバイアル、キャップです。試料を使わずにこの操作を行い、ブランク試料を調製します。ここで、ブランク試料は、分析試料と同時に調製する必要があります。 先ず、ブランク試料の必要性についてですが、試料以外の夾雑成分を試料成分と区別することに他なりません。上記の方法で、ある試料を調製し、LC/MS分析したら以下のTICクロマトグラムが得られたとします。 分析試料のTICクロマトグラム そして、ブランク試料を測定して得られたTICクロマトグラムが以下だとします。 ブランク試料のTICクロマトグラム ブランク試料のTICクロマトグラムで観測されている星印の2ピークは、分析試料のTICクロマトグラムにも観測されており、これらはブランク試料由来の夾雑成分である可能性があり、即ち試料由来の成分ではないということになります。ここで、もしブランク試料を測定しなければ、夾雑成分含めて全て試料由来
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著者: 髙橋 豊
このセクションは、質量分析に関する技術コンサルティングを提供するエムエス・ソリューションズ株式会社 髙橋 豊 氏によるLC-MS講座です。
バイオ研究者向けにLC-MSに関する様々な話題やLC-MSの操作で注意すべき点などを分かりやすくご紹介します。
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【髙橋 豊 氏 ご略歴】
1987年3月 国立群馬工業高等専門学校卒業
1990年3月 群馬大学大学院工学研究科修士課程修了
1990年4月 日本電子株式会社入社 応用研究センターMSG研究員
2002年4月 NEDOマイクロ化学プロセス技術研究組合出向
2005年4月 解出向 同社開発本部研究員
2008年4月 横浜国立大学客員教授(~2009年3月)
2010年6月 日本電子株式会社退職
2010年8月 エムエス・ソリューションズ株式会社設立、代表取締役
2011年4月 横浜市立大学非常勤講師
2019年2月 株式会社プレッパーズ(浜松医科大学発ベンチャー)設立 代表取締役社長
【主な著書】
LC/MS定量分析入門(情報機構)
液クロ虎の巻シリーズ(丸善)
分析試料前処理ハンドブック(丸善)
液クロ実験 How to マニュアル(医学評論社)
LC/MS, LC/MS/MSの基礎と応用(オーム社)
現代質量分析学(化学同人)
【受賞歴】
2004年 日本質量分析学会奨励賞
【資格】
日本分析化学会認証 LC分析士二段、LC/MS分析士五段
【趣味】
トライアスロン、マラソン、ウルトラマラソン、ソフトボール、テニス、スキー(全日本スキー連盟指導員)、サッカー審判員(3級)