こんにちは。質量分析屋の髙橋です。LC-MSを用いて何かの試料を分析する際、試料をLCカラムで分離させずに直接試料をMSに導入する方法には、インフュージョンとフローインジェクションの2種類が用いられます。インフュージョンは、試料溶液をシリンジポンプによって連続的にMSに導入する方法で、マスキャリブレーションを行う時はこの試料導入法が用いられます。
フローインジェクションは、装置としてはLC-MSそのままですが、カラムを外してその替わりにユニオンを接続し、インジェクターから試料を注入します。試料成分がカラムで分離されませんので、試料が混合物であればそのまま混合物の状態でMSに導入されます。両方法で得られるデータのイメージは以下の様になります。
インフュージョンでは、試料溶液が連続的に一定流量でMSに導入されるため、測定時間中シグナル強度はほぼ一定で、測定時間の何処でマススペクトルを取得しても殆ど同じパターンになります。 フローインジェクションでは、溶媒の流れの中に試料が注入されるため、シグナル強度は変化を伴い、ピークが現れます。カラムを用いていないため、ピークが現れる時間は数秒程度になります(流している溶媒の流量と配管容量に依存)。また、多くの場合テーリングしたようなピーク形状になります。

インフュージョンとフローインジェクションのデータイメージ
どちらの方法も、初めて測定する試料に対して、LC/MSで測定可能か?(ESIやAPCIでイオン化するか?)をザクッと確認したいときに用います。或いは、購入した標準試薬をそのまま測定する時や、単離精製された化合物のマススペクトルを確認する時にも用いられます。インフュージョンについては、ある一定時間常に試料のマススぺクトルを観察出来るので、イオン源パラメーター等の条件の最適化を行う時や、分析種のイオンが観測されたらそのMS/MSスペクトルを測定する時などにも便利です。
ここで挙げたフローインジェクションはあくまでも試料導入の手段であって、分析化学の一手法である”フローインジェクション分析”とは異なりますので、混同しないように注意して下さい。
