新型コロナウイルスなどのコロナウイルス感染症では、なぜ高齢者や乳幼児が重症化しやすい一方で、若い成人は比較的軽症で済むことが多いのでしょうか。その謎を解く鍵が、年齢によって異なる免疫細胞の働き方にあることが、新しい研究で示されました。
インド科学教育研究所コルカタ校(Indian Institute of Science Education and Research Kolkata, IISER Kolkata)のサタヴィシャ・ゴーシュ氏(Satavisha Ghosh)、責任著者のジャヤスリ・ダスサルマ博士(Jayasri DasSarma, PhD)らの研究グループは、「CX3CR1+ Microglia/Macrophages, Activated T Cells, and IFN-γ-Driven Stimulation Confer Age-Dependent Protective Immunity in Young-Adult Mice Following β-Coronavirus Infection(CX3CR1陽性ミクログリア・マクロファージ、活性化T細胞、IFN-γによる刺激が、β-コロナウイルス感染後の若年成体マウスに年齢依存的な防御免疫をもたらす)」と題した論文をbioRxivに発表しました。研究チームは、ヒトコロナウイルスのモデルとなるβ-コロナウイルス、マウス肝炎ウイルス株MHV-RSA59を幼若マウスと若年成体マウスに接種し、感染後の免疫応答を比較しました。
その結果、若年成体マウスでは、CX3CR1(CX3CR1: CX3C chemokine receptor 1)陽性ミクログリアの活性化や、CX3CR1陽性・MHC II陽性の単球・マクロファージの中枢神経系への浸潤、IFN-γ(インターフェロンガンマ)を産生するCD4陽性・CD8陽性T細胞、CXCR3陽性エフェクターT細胞の増加が確認されました。頸部リンパ節ではナイーブT細胞が減少する一方でエフェクター・中枢記憶T細胞が増加しており、長期的な防御免疫の獲得も示唆されています。さらに制御性T細胞の蓄積も多く見られ、ウイルスが排除された後の過剰な神経炎症を抑える仕組みが働いていると考えられます。
一方、幼若マウスでは脊髄全体にわたる広範な脱髄がみられ、若年成体マウスとは対照的な結果となりました。研究チームは、この年齢依存的な免疫防御の仕組みを解明したことが、年齢層に応じた治療法やワクチン戦略の開発につながる可能性があるとしています。
