ひとつの巣の中で、何千匹ものハチが見事な連携プレイを見せるミツバチの世界。若い蜂が巣の中で子育てを担当し、成長すると外へ飛び出して蜜を集めるという「役割分担(労働分業)」の仕組みは、これまで多くの研究者を魅了してきました。しかし、「なぜ年を取ると外での危険な作業へと仕事が変わるのか?」という因果関係の全貌は、長年謎に包まれたままでした。
共有された食料資源へのアクセスがミツバチの労働分業の鍵となる
分業(division of labour)は動物社会においてきわめて重要な役割を果たしており、真社会性昆虫が繁栄を極めた一因でもあります。ミツバチにおける時間的分業(temporal division of labour)では、若いハチが幼虫の世話(育児)に従事し、高齢のハチが花蜜や花粉を採餌することが知られています。集中的な研究が行われてきたにもかかわらず、ミツバチにおける時間的分業へと至る因果関係の連鎖の全貌は、いまだ解明されていませんでした。
今回、ヴィルジニア・ザニ(Virginia Zanni)氏、ダヴィデ・フリッツェラ(Davide Frizzera)氏、エリザ・セフィン(Elisa Seffin)氏、ジャコモ・オルティス(Giacomo Ortis)氏、アグネセ・ジャコメッティ(Agnese Giacometti)氏、アレッシア・ロシンノ(Alessia Losinno)氏、デシデラート・アノシア(Desiderato Annoscia)氏、そしてフランチェスコ・ナツィ(Francesco Nazzi)氏らの研究チームは、論文「Access to shared food resources is key to the division of labour in honey bees(共有された食料資源へのアクセスがミツバチの労働分業の鍵となる)」を発表しました。
研究チームは、内因性因子によって育児エリアへの受け入れ、ひいては栄養豊富な食事へのアクセスが駆動され、その食事が今度は育児適性に影響を与えることを示しました。採餌への移行は、加齢したハチがより若い巣仲間のハチによって育児エリアから徐々に追い出され、その結果として質的に劣った食事をとることになり、より危険な屋外活動を余儀なく選択することから生じます。
本研究の結果は、ミツバチにおける生殖分業および時間的分業の双方が、巣仲間間の優位性相互作用によって影響を受ける栄養状態によって規定されているという見解を支持するものです。提唱されたモデルは、本来は単独性のハチがサイクル状に単一で執り行っていた3つの機能——産卵、育児、および食料採集——を解離させる「二重の切り離し(double decoupling)」をインプライする進化の軌跡と一致しています。
https://www.nature.com/articles/s42003-026-10680-4
