犬と人間の口唇裂と口蓋破裂に関係する変異が突き止められる


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人間と純血種の犬の奇形を研究している研究グループが、妊娠中に口唇と口蓋が正しく形成されないために起きる口唇裂や口蓋破裂とADAMTS20遺伝子の突然変異との関係を突き止めた。その研究報告がASHG2014年年次会議でプレゼンテーションされた。ADAMTSは、「A Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin Motifs」の頭字語で、ペプチダーゼ・ファミリーの名称である。   人間の体内ではADAMTS20などこのファミリーの19種のペプチダーゼが発見されている。ADAMTSタンパク分解酵素の機能として知られているものには、プロコラーゲンやフォン・ビレブランド因子の処理、アグレカン、バーシカン、ブレビカン、ニューロカンの開裂がある。これらのタンパク質は、結合組織の構成、凝固、炎症、関節炎、血管新生、細胞移動などに重要な役割を果たしていることが突き止められている。 また酵素活性のないADAMTSL (ADAMTS様) タンパク質の同族サブファミリーについても説明があった。University of California, Davis, School of Veterinary Medicineの大学院生、Zena Wolf, B.S.は、「この研究成果から、人間と犬双方の奇形の原因についてより理解が深まれば、人間、動物双方の医療に大きな変化をもたらす可能性がある」と述べている。人間でも犬でも口唇裂や口蓋破裂は程度の違いこそあれ自然に起きており、遺伝要因や環境要因が原因として考えられる。 Ms. Wolfは、「純血種の犬はごく少数の個体の間で交配が行われており、遺伝子の違いが少ないため、そのグループの中での口唇裂や口蓋破裂発生は研究しやすい」と述べている。これまでの研究では、犬の口唇裂22症例のうち12症例で

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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