子供の遺伝子が母体のリューマチ様関節炎リスクに影響

2014.12.01
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子供の遺伝子の構成が母体のリューマチ様関節炎の原因になる可能性が見つかった。これはこの疾患が男性より女性に多いという現象の説明になる。このような研究結果がASHG 2014年年次会議で紹介された。リューマチ様関節炎は主として関節が炎症を起こし、激しく痛む症状で、遺伝や環境要因、ライフスタイルや過去の感染症などが原因とされている。

 

また、女性がこの疾患にかかる率は男性の3倍くらいの高率で、40代から50代の女性がもっとも発症しやすい。遺伝要因ではまとめて「shared epitope alleles」と呼ばれる免疫系遺伝子HLA-DRB1の特定形式がこの症状と関連している。HLA遺伝子は、病原体に感染した場合の免疫系の反応に関わっている他、移植医療でも自分自身の細胞と外来の細胞の区別をする作用に関わっていることが知られている。

University of California, Berkeleyの大学院生で、この論文の第一筆者のGiovanna Cruz, M.S.は、女性がリューマチ様関節炎にかかりやすいというのは妊娠が何らかの関わりをしていることを示している。妊娠中にはごく少数ながら胎児の細胞が母体の体内を循環しており、一部の女性の場合にはそれが何十年も続くようだ。

胎児マイクロキメリズムと呼ばれる胎児細胞が母体内に定着する現象は、リューマチ様関節炎の症状を持つ女性にはそうでない女性よりも頻繁に見られ、これがリューマチ様関節炎発症リスク要因になっている可能性がある。なぜそのようなことが起きるのかはまだ分かっていないが、HLA遺伝子とその活動が関わっている可能性が大きい」と説明している。研究チームは、shared epitopeまたはその他の形のリューマチ様関節炎リスクと関わりがあると見られるHLA遺伝子 のある女性とない女性、その子供の遺伝子を分析した。

その結果、子供が父親から遺伝した高リスク・アレルを持っている場合、母体間の遺伝子の違いを考慮した場合でも、リューマチ様関節炎を発症するリスクが大きくなることを突き止めた。このような結果から、女性が持っているリューマチ様関節炎発症リスクに加えて、特定の高リスク・アレルを持つ子供を懐胎した場合、同疾患を発症するリスクが高まることが示されている。Ms. Cruzは、「shared epitopeその他のHLAアレルがリューマチ様関節炎のリスクを高める機序はまだ分かっていないが、一つの可能性として、このような遺伝子がエンコードするタンパク質同士の相互反応が自己免疫疾患症状を刺激することが考えられる」と述べている。言い替えれば、母体の免疫系が胎児細胞の生成するタンパク質を検出し、母体内に定着している胎児細胞を外来の脅威と見間違い、そのために免疫反応を起こし、リューマチ様関節炎症状を引き起こすということになる。この仮説は女性が男性よりリューマチ様関節炎のリスクが高いことを説明できるだけでなく、女性の子供またはパートナーがリスクを高める遺伝子を持っているかどうかを調べることでリューマチ様関節炎リスクをより正確に計ることができるようになるかもしれない。

Ms. Cruzと研究チームはこの分野の研究をさらに進める計画を立てている。その他の将来的な研究として現在発症している患者の母親などリューマチ様関節炎の症例を多世代にわたって遺伝学的に解析することや、HLAエンコード・タンパク質やマイクロキメリズムの役割などについてもさらに研究を進めることが考えられている。今回の研究は、UC-Berkeley、UCSF、Harvard Medical Schoolその他の機関の共同研究で行われた。

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Michael D. O'Neill
APEX Award Winner
Edited by

Michael D. O'Neill

サイエンスライターとして30年以上の経験を持つ独立系科学ニュース編集者。世界160カ国以上に読者を持つ「バイオクイックニュース」を通じ、生命科学・医学研究の最前線をタイムリーに発信しています。