質量分析計による測定の基本はイオン化にあり:Frit-FAB編
サイエンス出版部 発行書籍
こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。2018年も引き続き宜しくお願いします。今年最初の記事は前回の続き、FABイオン化を用いたLC-MSインターフェースであるFrit-FABについて書いてみます。Frit-FAについては、以下の3つのブログでかなり詳しく書いています。 ESIとFABの比較-3 Frit-FABのあれこれ-1 Frit-FABのあれこれ-2 ここでは、Frit-FABに関するまとめと、この3つのブログには余り詳しく書かなかった“スタティックFAB”と“ダイナミックFAB”の違い、および、そこから派生するダイナミックFABのメリットについて書いてみます。ここで、スタティックFABとは前回解説した通常のFABのこと、ダイナミックFABとはFrit-FABのことです。 以前のブログにも書いていますが、FABを使える装置は最近ではめっきり少なくなっていて、現在日本で稼働している質量分析計の1%にも満たないと思います。ましてやFrit-FABは、FABが使える装置の中の更に数%程度でしょう。 そんな、現在質量分析計を使って仕事をしている人が殆どお目にかかることがないような技術について何故書くのか? それは、使っている人、知っている人が少ないからこそ、よく知っている私が発信することで、最近の装置しか知らない人に知識だけでもFABやFrit-FABのことを知って欲しいという思いと、使っていない技術についても知識を得ることで、今の仕事に役立つことがあると思うからです。 通常のFABとFrit-FABの概略を図1~3に示します。 図1 FABイオン源の概略図とFABプローブの写真 図2 Frit-FAB LC-MSインターフェースの概略図 図3 Frit-FABプローブの写真と
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著者: 髙橋 豊
このセクションは、質量分析に関する技術コンサルティングを提供するエムエス・ソリューションズ株式会社 髙橋 豊 氏によるLC-MS講座です。
バイオ研究者向けにLC-MSに関する様々な話題やLC-MSの操作で注意すべき点などを分かりやすくご紹介します。
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【髙橋 豊 氏 ご略歴】
1987年3月 国立群馬工業高等専門学校卒業
1990年3月 群馬大学大学院工学研究科修士課程修了
1990年4月 日本電子株式会社入社 応用研究センターMSG研究員
2002年4月 NEDOマイクロ化学プロセス技術研究組合出向
2005年4月 解出向 同社開発本部研究員
2008年4月 横浜国立大学客員教授(~2009年3月)
2010年6月 日本電子株式会社退職
2010年8月 エムエス・ソリューションズ株式会社設立、代表取締役
2011年4月 横浜市立大学非常勤講師
2019年2月 株式会社プレッパーズ(浜松医科大学発ベンチャー)設立 代表取締役社長
【主な著書】
LC/MS定量分析入門(情報機構)
液クロ虎の巻シリーズ(丸善)
分析試料前処理ハンドブック(丸善)
液クロ実験 How to マニュアル(医学評論社)
LC/MS, LC/MS/MSの基礎と応用(オーム社)
現代質量分析学(化学同人)
【受賞歴】
2004年 日本質量分析学会奨励賞
【資格】
日本分析化学会認証 LC分析士二段、LC/MS分析士五段
【趣味】
トライアスロン、マラソン、ウルトラマラソン、ソフトボール、テニス、スキー(全日本スキー連盟指導員)、サッカー審判員(3級)