細胞が体内の組織を突き抜けて移動する「浸潤」。この現象は生命の発生や、がんの転移などにも深く関わっていますが、細胞は一体どこからその莫大なエネルギーを得ているのでしょうか?最新の研究が、細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアの驚くべきメカニズムの一端を明らかにしました。
「Fuelling basement membrane invasion(基底膜浸潤にエネルギーを供給する)」
著者:ペトラ・グロス(Petra Gross)博士 公開日:2026年5月15日
基底膜を通した細胞の浸潤は、エネルギーを大量に消費するプロセスです 。しかし、細胞が浸潤に必要となる高レベルのアデノシン三リン酸(ATP: adenosine triphosphate)を生成するメカニズムについては、これまで十分に解明されていませんでした 。
ケニー・ガンザート(Kenny-Ganzert)博士らは、この浸潤のエネルギー源となる、特化した電子伝達系(ETC: electron transport chains)を持つ大容量のミトコンドリアを特定したと報告しています 。
著者らは、定型的な基底膜の通過イベントである、線虫(Caenorhabditis elegans)のアンカー細胞の基底膜浸潤をモデルシステムとして用いました 。その結果、アンカー細胞のミトコンドリアが高いレベルのATPを生成していることを明らかにしています 。
