カスタムオリゴ合成支援市場 ― 核酸医薬品CDMO化にみる事業機会
ライフサイエンス研究支援市場の中でも、近年とりわけ構造転換が顕著なのがカスタムオリゴヌクレオチド合成の領域です。PCR用プライマーやプローブ、合成遺伝子断片(gBlocks等)の受託合成として長らく研究試薬ビジネスの一角を占めてきたこの市場が、アンチセンスオリゴ(ASO)やsiRNAをはじめとする核酸医薬品の商業化成功を背景に、医薬品受託開発製造(CDMO)という全く異なる収益構造のビジネスへと急速にシフトしています。
研究用カスタムオリゴが要求されるのはマイクログラム〜グラムスケールでの短納期・低コストの合成ですが、核酸医薬品の原薬製造ではキログラム〜百キログラムスケールでのcGMP準拠製造・高度な不純物管理が求められます。両者は同じ「オリゴヌクレオチド合成」という技術基盤を共有しながら、必要な設備投資・品質保証体制・顧客層がまったく異なるため、市場としては一体でありながら二層構造を形成しつつあるのが現在の姿です。
複数の調査会社の推計には幅がありますが、グローバルのオリゴヌクレオチドCDMO市場は2024〜2026年時点でおおよそ30億〜39億米ドル規模とされ、年平均成長率(CAGR)はおよそ11〜24%と非常に高い水準が見込まれています。この成長を牽引しているのは、siRNA・ASO・gRNA(ガイドRNA)など多様な化学修飾核酸パイプラインの拡大、対象疾患の希少疾患から慢性疾患への広がり、そして製薬企業のアセットライト戦略に伴う製造外部委託(アウトソーシング)需要の高まりです。
本レポートでは、この市場の構造、主要プレイヤーの動向、規制・技術面での参入障壁、そして新規参入を検討する企業にとっての具体的な事業機会を、公開情報をもとに整理します。
