7月 13, 2021

偶数電子イオンのフラグメンテーション-2:電荷移動の考え方

質量分析屋の髙橋です。前回の記事に引き続き、LC/MS/MSによるプロダクトイオン分析で見られるフラグメンテーションについて解説します。今回は、偶数電子イオンのフラグメンテーション-2というタイトルにしていますが、恐らくは偶数電子イオンに特化したものではなく、LC/MS/MSで用いられる開裂法である低エネルギーCIDにおけるフラグメンテーションの考え方になり…
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7月 06, 2021

偶数電子イオンのフラグメンテーション-1

質量分析屋の髙橋です。質量分析計特にGCやLCとのハイフネーション装置であるGC-MSやLC-MSは、現在定量分析に多く用いられています。しかし質量分析は、元々は定性分析のための機器分析法であり、そのためにはマススペクトル特にフラグメントイオンの解析は重要です。 電子イオン化(electron ionization)については…
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5月 31, 2021

ESIにおけるイオン化抑制について

質量分析屋の髙橋です。以前書いたエレクトロスプレーイオン化(electrospray ionization, ESI)におけるイオン化抑制に関する記事について、「エネルギー供給を絶たれた帯電液滴」からのイオン生成プロセスが、イオン化抑制の原因になると言う解説をしました。今回はその続編、以前の解説を補足する記事を書いてみます。…
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5月 17, 2021

プロトン移動を伴うイオン化におけるイオン化抑制現象

質量分析屋の髙橋です。以前の投稿で、エレクトロスプレーイオン化(ESI)において起こるイオン化抑制について解説しました。 ESIで他のイオン化法に比べてイオン化抑制が顕著に起こるのは、エネルギー供給が絶たれた帯電液滴からのイオン生成プロセスに原因の一旦があります。…
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4月 16, 2021

MSMS(タンデム質量分析)の動作や用語(3)

質量分析屋の髙橋です。今回は、MS/MS(タンデム質量分析)の動作や用語その3、プリカーサーイオンスキャンについてです。プリカーサーイオンスキャンは、特定のプロダクトイオンを生成するプリカーサーイオンを検出するMS/MSの測定法です。…
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3月 26, 2021

MSMS(タンデム質量分析)の動作や用語(2)

質量分析屋の髙橋です。前回、MS/MSの種類を5つ挙げ、その中のプロダクトイオン分析について解説しました。プロダクトイオン分析は、未知化合物等の定性に用いられますが、今日は、プロダクトイオン分析と装置の動作原理は非常に似ていて、定量分析に用いられる選択反応モニタリング(selected reaction monitoring,…
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3月 05, 2021

MSMS(タンデム質量分析)の動作や用語(1)

質量分析屋の髙橋です。今日は、LC/MSの定性(定量)分析に用いられる(LC/MSに限ったことではないが)、MS/MS(タンデム質量分析)について解説します。 MS/MSは、日本質量分析学会が発刊しているマススペクトロメトリー関係用語集によれば、以下の様に定義されています1)。…
942 5.00
10月 21, 2020

LC/MSやGC/MSで得られるクロマトグラムの種類

質量分析屋の高橋です。暫く投稿をサボってしまい、大変失礼しました。今回は、LC/MSやGC/MSにおいて、マススペクトルを取得するモードで測定した時に得られるクロマトグラムの種類について説明します。 添付した図は、上から(a)TICC, (b)BPIC,…
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5月 27, 2020

LC-MSイオン導入細孔の電圧設定と付加イオン強度との関係

質量分析屋の高橋です。以前のブログで、イオン導入細孔の設定電圧とマススペクトルパターンの変化について書きました。イオン導入細孔は、ESIやAPCIなどの大気圧イオン源において、大気圧で生成したイオンが真空領域に入っていく時に最初に通過する細孔です。図1をご参照下さい。 メーカーによって名称は異なり、cone, orifice, transfer tube,…
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3月 19, 2020

LC-MSイオン導入細孔の電圧設定

質量分析屋の高橋です。お仕事でLC-MSをお使いの方で、イオン導入細孔の電圧設定を意識しておられる方はどれ位いらっしゃるでしょうか?イオン導入細孔は、ESIやAPCIなどの大気圧イオン源において、大気圧で生成したイオンが真空領域に入っていく時に最初に通過する細孔です。 図1 ESIソースの概略図 図1をご参照下さい。…
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1月 16, 2020

マススペクトル解析に知っていると役立つマスディフェクト値について

こんにちは。質量分析屋の髙橋です。2020年最初の話題です。お仕事で質量分析に携わっている皆さんは、マスディフェクト値と言う用語を知っていますか。 マスディフェクト値とは、日本質量分析学会が発刊しているマススペクトロメトリー関係用語集では、“ノミナル質量からモノアイソトピック質量を差し引いた値”と定義されています1)。…
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10月 28, 2019

LC-MSを用いた直接試料導入法

こんにちは。質量分析屋の髙橋です。LC-MSを用いて何かの試料を分析する際、試料をLCカラムで分離させずに直接試料をMSに導入する方法には、インフュージョンとフローインジェクションの2種類が用いられます。インフュージョンは、試料溶液をシリンジポンプによって連続的にMSに導入する方法で、マスキャリブレーションを行う時はこの試料導入法が用いられます。…
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2月 14, 2019

ESIで起こるマトリックス効果(イオン化抑制)について

こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。LC/MSで汎用的に用いられているイオン化法はESIですが、ESIの大きな問題はマトリックス効果特にイオン化抑制が起こり易い事です。ここでは、、“ESIでイオン化抑制が何故起こるのか”について解説したいと思います。因みに、この内容の多くは、山梨大学の平岡先生から教えて頂いたことです。…
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11月 08, 2018

LC/MSでブランク試料を測定した時に現れる夾雑ピークについて

こんにちは。質量分析屋の髙橋です。前回投稿した“LC/MSにおける試料調製や前処理で重要なポイント”について、この記事の後半で描いている“ブランク試料のTICクロマトグラムで観測されたピークは、必ずしもブランク試料由来ではない可能性がある”について、今回は他の可能性を考えて見たいと思います。経験上、二つの可能性があると思います。…
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10月 25, 2018

LC/MSにおける試料調製や前処理で重要なポイント

こんにちは。質量分析屋の髙橋です。LC/MSにおける試料調製や前処理として何をするか?は、試料の内容によって異なります。“溶解”、“ろ過”、“遠心分離”、“固相抽出”、“溶媒抽出”、“除タンパク”、などなど。LC/MSに供される試料は液体ですから、何等かの溶媒は必ずと言っていい程頻繁に使います。そして、溶媒を扱う時のピペッターや容器。…
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8月 23, 2018

エレクトロスプレーでイオン化できる化合物は?

こんにちは。質量分析屋の髙橋です。LC/MSのイオン化法として代表的な2法、エレクトロスプレーイオン化法(electrospray ionization, ESI)と大気圧化学イオン化法(atmospheric pressure chemical ionization, APCI)、以下の図のような基準での使い分けが一般的です。…
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6月 12, 2018

マススペクトル取得モードについて

こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。ここしばらく、イオン化法について解説を書いてきましたが、今回はマススペクトル取得モードについて書いてみたいと思います。質量分析計をお使いの皆さんは、マススペクトル取得モードについて意識されたことはあるでしょうか?…
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4月 17, 2018

質量分析計による測定の基本はイオン化にあり:IA編

こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。 以前から何度か書いていますが、質量分析計による測定の基本は、第一に化合物に適したイオン化を選択することです。 揮発性(加熱して気化する性質)化合物に適したイオン化として、先ずは電子イオン化(electron ionization,…
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1月 17, 2018

質量分析計による測定の基本はイオン化にあり:Frit-FAB編

こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。2018年も引き続き宜しくお願いします。今年最初の記事は前回の続き、FABイオン化を用いたLC-MSインターフェースであるFrit-FABについて書いてみます。Frit-FAについては、以下の3つのブログでかなり詳しく書いています。 ESIとFABの比較-3 Frit-FABのあれこれ-1 Frit-FABのあれこれ-2…
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10月 19, 2017

質量分析計による測定の基本はイオン化にあり:FAB編

こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。最近3回に亘ってイオン化について書いています。EI, CI, FDに続いて今回はFAB。質量分析はイオンを分析する方法なので、何か測定したい試料(その中の特定の成分)がある時、先ずはそれをイオン化しなければマススペクトルを得ることが出来ないので、質量分析の基本は、先ずはイオン化な訳です。…
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9月 05, 2017

質量分析計による測定の基本はイオン化にあり:FD編

こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。前々回、前回で、揮発性化合物の分析に有効なイオン化法として、EIとCIについて述べました。EIとCIは揮発性化合物に有効なので、通常GC/MSに用いられます。 このコラムはLC/MSが中心なのに何故GC/MSのイオン化について書くのか? と思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、その理由は2つです。…
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6月 21, 2017

質量分析計による測定の基本はイオン化にあり:CI編

こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。 質量分析計による測定の基本は、第一に化合物に適したイオン化を選択することです。もちろん、全てのイオン化が可能な質量分析計を所有しているケースは少ないので、選択すると言っても限界があるのが実態だと思います。それでも、イオン化の特徴と使用する際の注意点はしっかりと理解しておく必要があると思います。…
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6月 01, 2017

質量分析計による測定の基本はイオン化にあり:EI編

こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。 “質量分析”は、日本質量分析学会のマススペクトロメトリー関係用語集によると以下のように定義されています1)。 「質量分析計(mass spectrometer)と質量分析器(mass spectrograph)、およびそれらの装置を用いて得られる結果に関するすべてを扱う科学の一分野。」…
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12月 01, 2016

高分解能質量分析計を使えば必ず高い質量確度で精密質量測定ができる訳ではない!

こんにちは! 質量分析屋の高橋です。前回、高分解能質量分析計で得られたマススペクトルにおいては、イオンのm/z値を小数点以下3桁ないし4桁のレベルで測定することができ、イオン種が分かれば元の分子の精密質量が得られるので、分子の元素組成を推測することができることを説明しました。 一般的に高分解能と呼べるのは、20,000 (FWHM)…
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10月 20, 2016

質量分解能とm/z値について

こんにちは! 質量分析屋の高橋です。 以前に投稿した マススペクトルから何が分かる? MSで得られる質量情報について 質量分解能と分子の質量・分子量の関係…
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9月 01, 2016

窒素ルールについて

こんにちは! 質量分析屋の高橋です。 前回まで、マススペクトルから得られる質量情報について、いくつか解説してきました。今回は、その一環として“窒素ルール”について解説します。窒素ルールとは、C, H, N, O, P, S, ハロゲン元素などから成る一般的な有機化合物において、 ・窒素原子を0個または偶数個含むと、化合物のノミナル質量は偶数になる…
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7月 22, 2016

質量分解能と分子の質量・分子量の関係

こんにちは! 質量分析屋の高橋です。 前回、マススペクトルから得られるのは、基本的には分子の質量情報であって分子量情報ではないことを解説しました。今回は、マススペクトルから分子量情報が得られる場合もあることを、質量分解能(mass resolving power)との関係において解説します。…
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7月 07, 2016

MSで得られる質量情報について

こんにちは。質量分析屋の高橋です。二回目の「マススペクトルから何がわかる?」で、“質量分析では分子の質量情報が得られる”と書きました。 “質量分析で得られるのは分子量情報ではないのか?”と思われる方がいると思うので、“分子の質量”と“分子量”の違いについて確認してみたいと思います。…
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6月 15, 2016

m/z とは?

こんにちは! 質量分析屋の髙橋です。第一回目、第二回目共に、マススペクトルの横軸であるm/zについて触れています。今回は、このことについて、もう少し掘り下げて考えてみます。 日本質量分析学会のマススペクトロメトリー関係用語集1) において、m/z は以下のように定義されています。…
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6月 01, 2016

マススペクトルから何がわかる?

マススペクトルは質量分析によって得られる最も基本的なデータであり、縦軸を信号強度、横軸をm/zで表した二次元表示です(mとzはそれぞれイタリック体で表記)。 ここで、mはイオンの質量を統一原子質量で割った値、zはイオンの電荷数を表しています。 図1と2に、異なる化合物を異なる条件で測定したマススペクトルを示します。…
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5月 18, 2016

質量分析計におけるキャリブレーションの重要性

こんにちは。質量分析屋の高橋です!初回は、質量分析計(MS装置)におけるキャリブレーションの話です。 MS装置のキャリブレーションとは、MSで得られるマススペクトルの横軸(m/z、mはイオンの質量、zは電荷数)を補正する操作です。 正確にはマスキャリブレーション、日本語では質量校正と言います。…
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4月 19, 2016

自己紹介

はじめまして。質量分析屋こと、エムエス・ソリューションズの髙橋 豊です。このコーナーで、バイオ研究者向けのLC-MSに関する話題を提供していくことになりました。私が質量分析(mass spectrometry, MS)に出会ったのは、1986年、群馬工業高等専門学校の5年生、卒業研究で田島進先生の研究室に配属になった時でした。…
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