著者: 髙橋 豊
このセクションは、質量分析に関する技術コンサルティングを提供するエムエス・ソリューションズ株式会社 髙橋 豊 氏によるLC-MS講座です。
バイオ研究者向けにLC-MSに関する様々な話題やLC-MSの操作で注意すべき点などを分かりやすくご紹介します。
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【髙橋 豊 氏 ご略歴】
1987年3月 国立群馬工業高等専門学校卒業
1990年3月 群馬大学大学院工学研究科修士課程修了
1990年4月 日本電子株式会社入社 応用研究センターMSG研究員
2002年4月 NEDOマイクロ化学プロセス技術研究組合出向
2005年4月 解出向 同社開発本部研究員
2008年4月 横浜国立大学客員教授(~2009年3月)
2010年6月 日本電子株式会社退職
2010年8月 エムエス・ソリューションズ株式会社設立、代表取締役
2011年4月 横浜市立大学非常勤講師
2019年2月 株式会社プレッパーズ(浜松医科大学発ベンチャー)設立 代表取締役社長
【主な著書】
LC/MS定量分析入門(情報機構)
液クロ虎の巻シリーズ(丸善)
分析試料前処理ハンドブック(丸善)
液クロ実験 How to マニュアル(医学評論社)
LC/MS, LC/MS/MSの基礎と応用(オーム社)
現代質量分析学(化学同人)
【受賞歴】
2004年 日本質量分析学会奨励賞
【資格】
日本分析化学会認証 LC分析士二段、LC/MS分析士五段
【趣味】
トライアスロン、マラソン、ウルトラマラソン、ソフトボール、テニス、スキー(全日本スキー連盟指導員)、サッカー審判員(3級)
質量分析屋の髙橋です。
今回から数回に亘って、何かの試料を質量分析する時、その目的に応じてどのような質量分析計を使えば良いのか? という内容について解説します。なかなか広い話になるので、何回かに分けて、書き進めていこうと思います。
LC/MSで頻繁に観測されるバックグランドイオンの代表例は、少し前の記事に書いた可塑剤由来のイオンですが、他にも色々と知られています。その1つは、シロキサン由来のイオンです。そのマススペクトルを図1に示します。これは、可塑剤由来のイオンと同様、正イオン検出で観測されます。
質量分析屋の髙橋です。前回に引き続き、LC/MSで観測されるバックグランドイオンについて紹介します。前回は正イオンの例でしたが、今回は負イオンの例です。負イオン検出のESIやAPCIで、m/z 255や283のイオンを見た事はないでしょうか?前者はパルミチン酸(C16H32O2、モノアイソトピック質量256.240234 Da)、後者はステアリン酸(C18H36O2、モノアイソトピック質量284.271515 Da)の[M-H]-です。それぞれの[M-H]-の精密質量は、255.23293、283.26422となります。また、二重結合が1つ入ったm/z 253や281イオンが観測される事もあります。
下の図は、m/z 255, 283イオンが観測されている負イオン検出でのLC/MSのバックグランドマススペクトルです。
質量分析屋の髙橋です。今回から数回にわたって、LC/MSで頻繁に観測されるバックグランドイオンについて解説します。
こんにちは。質量分析屋の髙橋です。お仕事で質量分析に携わっている皆さんは、マスディフェクト値と言う用語を知っていますか。マスディフェクト値とは、日本質量分析学会が発刊しているマススペクトロメトリー関係用語集では、“ノミナル質量からモノアイソトピック質量を差し引いた値”と定義されています1)。
LC/MS/MSによるプロダクトイオン分析で対象となる偶数電子イオンのフラグメンテーションの3回目、今回はマスシフトを伴う例について解説します。偶数電子イオンのフラグメンテーションにおけるマスシフトについてはまた別の機会に紹介しますが、直ぐに知りたい方は、故中田尚男先生が論文にまとめられていますので1, 2)、そちらを読んでください。前回に続き、アルギニンのプロトン付加分子([M+H]+)のプロダクトイオンスペクトル(図1)から、典型的な例を示して解説します。
質量分析屋の髙橋です。前回の記事に引き続き、LC/MS/MSによるプロダクトイオン分析で見られるフラグメンテーションについて解説します。今回は、偶数電子イオンのフラグメンテーション-2というタイトルにしていますが、恐らくは偶数電子イオンに特化したものではなく、LC/MS/MSで用いられる開裂法である低エネルギーCIDにおけるフラグメンテーションの考え方になります。
質量分析屋の髙橋です。質量分析計特にGCやLCとのハイフネーション装置であるGC-MSやLC-MSは、現在定量分析に多く用いられています。しかし質量分析は、元々は定性分析のための機器分析法であり、そのためにはマススペクトル特にフラグメントイオンの解析は重要です。
質量分析屋の髙橋です。以前書いたエレクトロスプレーイオン化(electrospray ionization, ESI)におけるイオン化抑制に関する記事について、「エネルギー供給を絶たれた帯電液滴」からのイオン生成プロセスが、イオン化抑制の原因になると言う解説をしました。今回はその続編、以前の解説を補足する記事を書いてみます。
質量分析屋の髙橋です。以前の投稿で、エレクトロスプレーイオン化(ESI)において起こるイオン化抑制について解説しました。
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